無何有郷

花束みたいな恋をしたの無何有郷のレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
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トラウマになるんじゃないかと恐ろしくて絶対観ないようにしようと思っていた映画。結局観た。とても面白かった。資本主義生産様式における労働疎外、そしてその疎外がつまるところ類的存在としての人間からも疎外されてしまうという、ちょっと風刺的な物語。
麦くんも絹ちゃんも既存の社会の在り方や働き方に対して違和感があるのに、その違和感を結局サブカル版なんクリ並の消費活動を通してでしか表現できないからこんなに容易く魂が資本に飲み込まれてしまったのではないか。心の拠り所が今村夏子の『ピクニック』ではなくマルクスの『経済学哲学草稿』だったらもっと耐えれたはずであろうと妄想せざるを得ない。ある意味サブカル恋愛映画というよりプロレタリア文学だ
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