cathy

花束みたいな恋をしたのcathyのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

2人とも隣にいそうな雰囲気のカップル演じるのうますぎ。
演出が全部決まってて良い映画を見たなと思える。
スニーカーと革靴の対比、入居時は広げたのに退去時は畳むカーテン、高いカラオケと安いカラオケ、ストリートビューとかいちいちにくい。
よくよく考えると最初に信号でキスして初めて寝たシーンから、別れる前に無理やりセックスレス解消しようとしたシーンまでぜんぜん直接的にいちゃいちゃしてる描写がないのに恋愛映画として成立してるのすごい。

全部見ると、麦くんは1カット1000円から3カット1000円に値切られたときに断れなかったのが全ての敗因なんじゃないかと思う。
「これが社会だから」と我慢するクセがついちゃったから転職先でも我慢しか選択できなくて守るべき2人の関係性が壊れていく。
絹ちゃんと結婚したいから絹ちゃんの両親の価値観に洗脳されていったのに、そのせいで絹ちゃんとの関係性がすれ違っていくの皮肉すぎた。
絹ちゃんは「一緒に好きなものを楽しみたいから」から映画を見たいのに、麦くんにとっては「絹ちゃんを喜ばせたいから」映画を見るようになってた時点でもうすれ違ってる。
仕送り止まって就職を余儀なくされるの、お金と時間がなければサブカルは楽しめないよねと思って泣けた。
疲れすぎてパズドラしか楽しめなくなるのも日本の社会の縮図すぎて泣けた。
毎回絶対ここじゃないタイミングで麦くんがプロポーズするのコントすぎて面白い。

自分のやりたいことを続けるために彼女をキャバ?パパ活?させる先輩と、彼女のためにやりたいことを諦めた麦くん、結局どっちも別れるし、やりたいことも2人とも諦めざるを得なくなるの「じゃあどうすりゃよかったんだよ」ってなる。

【気になる点】
・麦くんの一人暮らしの家も同棲後に住む家も広すぎないか?金がないから就職するとか言う前に家賃を下げろ!余裕ないなら猫を飼うな!
・別れて1年しか経ってないけどお互い即新しいパートナーできてるの、サブカルのくせに人に心許すの早?!って思う
ちょい気になるレベルの男のために天竺鼠の単独チケット捨てられる絹ちゃんはまだしも、麦くんも???もうサブカルじゃないから普通の人間になっちゃったんすか???
・1回も感情的にキレないし、雰囲気悪くなったらすぐ謝るし、絹ちゃん大人すぎないか???1回も話し合いしないせいで別れるはめになるとも言えるけど
・仕事が忙しくてすれ違い、って話だったのに後半麦くんが転職してるわけでもないのに仕事が急に落ち着いて2人の時間取れるようになってるのなぜ?「5年働けばなんとかなる」って言ってたから単純に慣れ?
・「絹ちゃんと現状維持するために金が必要だから働く」と言って諦めた麦くんの夢は別れたあとどうなったのか?麦くんの絵、大学の時点でうますぎ。あんだけうまかったらまた自分の夢を思い出しそうなものだけど、そこはスルーなの…

この映画を見て同じこと考えた人と友達でいたい、って思う映画です。
cathy

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