eichan

花束みたいな恋をしたのeichanのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.5
趣味や価値観が近い男女の恋愛を描いた映画。二人の家族や友人がストーリーにあまり絡んでこない点が珍しいところ。二人の恋愛に焦点をあてて作られているため、そういう意味で雑味がなく分かりやすい。

映画のストーリーは、若い頃恋愛をした人ならつい共感してしまうように作られている。工夫が東京や横浜など具体的な場所が舞台だったり、ゲームや音楽、本といったカルチャーが現実とリンクしていたりといったような趣向も凝らしてあり、特にここ数年の思い出がある人は昔の自分を見てしまうかもしれない。

私が二人の恋愛を見て再認識したことは、「人を愛するなら、変化を受け入れる」ことの大切さである。人は経験や知識を得ると良くも悪くも変化していく。二人は出会ったときに感性が合いすぎていたため、合わなくなることに過剰に嫌悪感を覚えることになった。麦は「現状維持をしていく」ことを目指すが、本当に必要だったのは「変わりゆく絹のありのままを愛すること」だったのだと思う。変化のない恋愛、変化のない夫婦など存在しない。
さらに言うなら、変化する自分自身にも適応しなければならない。好きなことに興味がなくなったり、自然としていたことをしなくなったり、そういう変化そのものがこの映画ではネガティブに描かれているように感じた。

個人的にはこの内容を2時間は長く感じた。自分にもう少し恋愛経験があったらもっと感動できたかもしれない。
eichan

eichan