Yellowman

ナイン・デイズのYellowmanのレビュー・感想・評価

ナイン・デイズ(2020年製作の映画)
4.5
生きていく事は、困難の連続だ。
だが、それ以上に、美しい瞬間と感動に、満ち溢れている。
生命の希望を謳いあげた、ファンタジーの傑作。

この世ではない、荒野に、ぽつんと一軒家があり、そこに住むウィル(ウィンストン・デューク)は、無造作に並べられた、複数のテレビモニターから、人々が体験する日常を観察する日々を送っていた。彼の仕事は、”魂”の選別者である。この世で、失われた命と引き換えに新たな生を受ける”魂”を9日間かけて、数人の”魂”をテストしながら、誰がこの世に生まれて行くのが、ふさわしいかを見定めるという作業だ。
ある日、いつものように、モニターを観察していると、ある女性が自殺をしてしまい、
1人分の生命を送ることになり、早速、魂の志願者達が集まって・・・

この映画は、あくまでもファンタジーなのだが、魂の選別者のウィルが暮らす一軒家も、近未来や、ファンタジー然などは、皆無で、むしろ、20年前ぐらいの家財道具で、まとめられている。そこが堪らなく良いのだ。
そして、集められた魂(と言っても、年齢バラバラで、姿形は、人間そのもの)達との9日間で、勿論、ウィルの判断や、自ら、生を受ける事を諦める事にした者達への、労いとしての、もしも、生を受けていたら、1番やってみたかった事を聞き、それを再現するシーンがあるのだが、その再現の仕方が、実に秀悦。この映画の1番の見所ではないかと思う。とにかく、この作品は、実に詩的であり、観念的ではあるが、人が苦悩しながらも生きていく事を全肯定する作品である事には、間違いない。
ラストシーンは、心揺さぶられるはず。

予告編
https://youtu.be/FsQwB2w_6TE
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