りょうた

木靴の樹のりょうたのネタバレレビュー・内容・結末

木靴の樹(1978年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

傑作。ある田舎に四つの一家が共同の敷地に住んでいた。その四つの家族の生活を捉えた作品。採れた玉蜀黍の三分の二を地主に納めないといけない。決して豊かとはいえない農民たちと、大きな屋敷に住み、音楽を嗜む地主。序盤・中盤はこういった対比をそれほど意識させないほどに和やかで詩的な世界が広がるも、ある一家の息子の壊れた木靴を作り直すためにその父親が小川の木を一本切っただけで、怒った地主によって村から追い出されてしまう。それがなんとも残酷で……。

憎悪の視線、愛情の視線、怪訝な視線、監視の視線など、様々な視線が交差するその豊かさに感動しながらも、独特の緊張感が張り詰めている。
全体の色彩の雰囲気として暗い色が占める中で、シーツや雪の白、ニットの空色、生木の白い木肌、黄金色の干し玉蜀黍などが点景としてあるだけでも、うっとりと見とれてしまうほど瑞々しい。
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