ダイナ

ダーティハリーのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

ダーティハリー(1971年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

クリント・イーストウッドがアウトロー刑事を演じるクライムアクション映画。劇場型犯罪仕掛けるスコーピオンはゾディアック犯がモデルとのこと。想像以上にド悪党な相手、確保で一旦落ち着いてからの放免→ラストバトルと二転三転する展開が良かったです。違法捜査のため逮捕に繋がらないと言うのは当時のシステムを皮肉に描いた側面もあるそうな。

好きなシーン。スタジアムでの追い詰めの緊迫感や上司から「お前がやったのか」と問われ「俺なら殺してる」と返す所。そしてスリルを感じるシーン、自殺しようとする人を助ける所の不安定さ、バスの飛び乗りなんかは容赦のないスピード感にスタントマンだろうがヒヤッとさせられました。振り落とされそうな勢いで臨場感が凄い!

世間の同情を貰いハリーをハメて安全圏に入った瞬間に強盗、バスジャック(何がしてえんだこいつ)。ほとぼり冷めるまで、怪我治るまで待たねえかと思わなくもないですが、サイコパスの思考は読めません。異常性欲者のような「ムラッときたら止まらない」という衝動なのでしょうか。殺すしかないという免罪符をハリー刑事に与えるかの如く荒れ狂うスコーピオン演じるアンドリュー・ロビンソン。数年後のヘルレイザーでは普通の真面目可哀想なおじさんを演じていて、デビュー本作との演技ギャップが面白いです。

ラストの発砲について、「拳銃持った人間に先手とって撃っても相手も撃ってくるやんけ」というレザボア・ドッグスやブギーナイツを観て培われた個人的思考。頭撃とうが腹撃とうが着弾の衝撃で引き金引かれる可能性あると自分は思っていて、そういう描写を見てきた者からしたら「銃」か「銃持った指」をピンポイントで狙い撃つ以外は、人質への被害・反撃のリスクがあるんじゃないかと思います。本作で撃ち抜くのは拳銃を握る手の反対側の肩…ただ撃たれた瞬間の吹っ飛び具合が凄かったので銃の威力によっては関係ないのかもしれません。いずれにしろ精密な狙撃能力が求められるのは間違いないので射撃の達人以外は挑戦するべきではないですね。

現実では真っ当な方法では制御することのできない悪党の話はよく聞きます。時代が変われど卑劣な悪党に怒りを覚える人は多いわけで、そんな悪党に鉄槌を下してくれるハリーに誰もが魅力を感じるのでしょう。
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