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カモン カモンのroppuのネタバレレビュー・内容・結末

カモン カモン(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

僕たちが、情報をただ享受するだけでなく、また発信者として生かされる時代、かつては同じくヒューマンキャピタルを交換しながら生きていたのに、もうフェイスブックにも、インスタグラムにも、テレグラムにも、ディスコードにもいないのは、子どもたちであるのかもしれない。
西側諸国の子どもたちは一律して戦争、気候変動、人種や国籍差別問題解決を訴えているが、それでも僕たちは意外と子どもたちの声を、それぞれを個人として、よく知らないのである。

本作は米国だが、大体西側の先進国の子どもたちはみな同じだと思う。良いか悪いかの判断はさておいて、僕の住むベルリンの子どもたちなんかはみんなこうである。

少年によれば、木は土の中では各々コミュニケーションしながら、栄養を分け合って生きているという。
上空から撮影されるニューヨーク、デトロイト、ニューオーリンズなどの都市を白黒で記号的に映すとまたそれも、何らかの形でそれぞれが対応しあい、反応しあっているようにも見える。
中にいる人間やそれを動かす交通機関は、栄養分とそれを通す管みたいなものかも知れない。

ただ内容的に、他の色んな名前のないマイノリティたちを忘れてしまっているのである。あの父親をもう少し映して上げてほしかった。あの状況にいることは、彼のせいではないはずであるが、子どもたちの声に合わせて見せられてしまうと、ある程度勘違いしてしまう。人々の行動には社会的理由がいつも伴う。

また、摩擦のある対話をしたいなら、他国で撮るなりしてみてはどうか。ちょっと悪く言うと、もうこういうのは見せられすぎた感じ。個人的に映画でみたいと思わないし、僕の大嫌いなインスタグラムみたいだ。大きな世界に見えて、結局米国という小ささ。
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