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カモン カモンのchiのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
3.6
上映後トークイベント付きの試写会に参加させていただきました。@ユーロライブ

君の話を聞かせて。
上映前に配られた資料の中で監督が白黒にした理由について答えていて、個人的にはその答えには納得がいっていなかった。ありふれた日常だって映画になると思っているので、なんで白黒にしたんだと鑑賞中ずっと納得がいかず疑問に思っていた。けれどトークイベントでLiLiCoさんが白黒だから言葉に集中できると言っていて納得がいった。たしかに、この映画はまさに「君の話を聞かせて」という映画だった。

叔父と甥が共に過ごすシーンの合間合間に叔父が様々な子供たちにインタビューをするシーンが挟まれる。インタビューではストーリーとは関係のない多様な問いがなされる。このインタビューが挟まれる構成で不思議な感覚になった。
でも子供たちの答えを聞いていく中で私もその話聞いてみたいなと思うものもあったりして、本当に人の話を聞き出すというのは多くの収穫がありとても大事なことだと思った。私はトークイベントなど好きでよく行くのだが、人の話を聞くというのは私が人生で大切にしたいことの一つかもしれない。今まで聞いたことのなかった話、普段の会話では出てこないような話をいろんな人から聞いてみたい。あなたは何を考えている?あなたはどう思う?人間は考える葦だから、あなたの考えを聞いてみたい。

子どもは大人が思う以上に色々なことを感じ取っているし考えている。私自身は未婚で末っ子なので子どもと関わった経験がほとんどないのだが、それでもそうだと思う。
子どもは大人にたくさん話す。私は将来子どもを持った時に、相手をするのが大変なのではないか、聞き流しておけばいいかななんて考えていたのだが、それは大間違いだった。子どもの取り止めのない話にもしっかり向き合い聞くことが大切。子どもの視点から気付かされることだってあるし、子どもは何かを訴えているのかもしれない。
人は皆、誰しもがかつて子どもだったのに、いつのまにか大人になって子どもだった自分を忘れてしまう。だから子どもの言動にむかっとしたり面倒だなと思うことがある。でも、みんな子どもだったんだから、今大人として向き合っているその子どもにはかつての自分がいる。しっかり向き合えば何か見えてくるものがあるんだろうなと思った。

「このこと、ずっと覚えている?」とジェシーが聞いた辺りからラストにかけて、ちょっと泣きそうになってしまった。


小学生くらいの頃からブランチの映画コーナーなどで長年見ていたLiLiCoさん、テレビで見た通りの人だったし、ジェシーが跳ねてるポスターの真似して写真撮りだして最高でした。
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