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カモン カモンのhabakariのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
4.0
好き嫌いで言えばそんなに…ではあるが、流石に巧い。マイクロフォン・ロールプレイング・インタビューを介した自己認識と繰り返される「鏡」の相似。観客に窃視のイメージを喚起させる窓越し・扉越しのショット群。キャラクター心理の覗き見が、そのまま観客自身の内省につながる、本作の鏡としての役割。
後半になるにつれ鏡越しのショットは減り、教育マニュアルや空想の設定といった薄皮をまとった甥と叔父の対話にフォーカスが当たる。二人の関係性と街・ノンフィクショナルなインタビュー・書物の引用の緩やかな共鳴も巧妙。ぶつ切りのショット群も含めて散文的な魅力がある。
ぎりぎり下品にならないラストの分別も良いし、PrimitivesもWireもバッチリだった。決定的なショットこそないけど。
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