ルイまる子

カモン カモンのルイまる子のレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
3.8
恐るべし天才子役現る!ジェシー役のウッディ・ノーマンくん、ジェシーと同じタイプの人なんじゃないかと思える。生まれた時から精神年齢30歳くらいで9歳の時点でもう80年くらい生きてる感じだ。こういう子は多分子供時代がなく、すごいスピードで大人になり、周りから理解されにくいから孤独で思春期頃に自殺しないよう気をつけてあげないと。そしてホアキン・フェニッククスは早熟な兄リバー・フェニックスを亡くした悲しい経験から兄とウッディくんが重なるんじゃないかな…などまた勝手な妄想をしていたが、どうやら後で記事を読んだらウッディくんはジェシーとは対局な性格で外交的で人付き合い上手く、環境保護に熱心なロンドンで育ったイギリス人!らしい。本作のために英語のアクセントもアメリカ風に直したとか。さて、本作内容については、異質なテイストの映画という印象。カテゴリー分けが出来ない。甥とおじさんの心の交流がテーマだが、笑えるというより少々心の中の問題をカウンセリング的にエンドレスに続ける。鑑賞中、自分がジェシーに似た扱いにくい子供だったから(ADHDか?)、彼の気持ちにもなるし、叔父のジョニーの気持ちにもなりしんどかったが、あまり息抜きの場面はない。本作はきっと好きな人嫌いな人の二極に分かれるかも。間違えて映画館に入った人は拾い物と喜ぶか、眠くなるか…。ホアキンはジェシーに人は幸せになるために静かで穏やかな時間を過ごす事が大事なんだ。そんな音の鳴る歯ブラシを使ってたらいつも刺激がないといられなくなるぞ、などと叱ったけど、結局そのうるさい音楽が鳴り続ける歯ブラシを買った。その歯ブラシが象徴するように、とうとう最後まで静かな隙間がなかった。画はきれいだしNYのチャイナタウンとか近いのか街は綺麗だったんだけどね。タイトルバックまで子供の声を余白なくギチギチに詰め込んでいた。その隙間なしの頭の中パンパンで休みなしの苦悩を意図的に描いたんだろうけど、視聴中のこっちも同じ傾向だから、ただ辛いと感じた。良いところはともかく主演二人の演技が素晴らしかった!観ていて『ドライブ・マイ・カー』の濱口監督の手法を使ったんじゃないかと疑ったくらい。例の棒読みのスクリプト稽古を何十回もし、全てのセリフが体に入ってたからこそ、あそこまで自然な会話が可能なのかも。それともジョニーとジェシーのやり取りは全てアドリブか?と疑いたくなるほど。あと一つ良い点は、子供の名前が今どきのキラキラネームじゃなく、ジェシーという普通の名前で良かった。
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