pen

カモン カモンのpenのネタバレレビュー・内容・結末

カモン カモン(2021年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

誰しもが言葉を持っている。と同時に言葉に出来ない気持ちも心に宿している。
そのことを理解して受け止めていく為には言葉を使い、誰かと話していくことが大切だと気付かされる。
ちゃんと聞き、相手の言葉を咀嚼して自分の想いを伝えられるようにしていくのには、想像以上にエネルギーが必要だ。そうした労力を掛けても繋ぎ止めておきたい、深めていきたいと思える関係。そういったものを二人の姿から感じた。
そして二人だけでなくて、電話越しに互いの状況を話していく彼女も、大事な存在の一人だと自然と気づかせてくれる。その場にはいなくても3人目の主人公だ。

モノクロ映像による映画だと直近の作品ではベルファストが浮かぶ。あちらは顔、表情に寄るが、こちらはむしろカメラは引いていく(でも会話している時は二人が画面の中にいるように心掛けたサイズ感)。そして常に画面に拡がった世界の「音」を観る側に意識させる。
重なり合うドキュメンタリーのような子どもたちへのインタビューから伝わる、様々な考えを有した音。世界の拡がりが音によって表現されているのではと思った。
そう思うと、白黒の群衆や車の通りはただの背景ではなく、一人ひとりの異なる音を持った存在のように感じられてきた。

ミニマムだけど周囲が暗くて色を落としているからこそ特に集中して観られた作品な気がする。
pen

pen