イシダコ

カモン カモンのイシダコのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
2.0
作り手の意に反しているとは思うが、希望よりも絶望に近い感じのものを受け取ってしまった。『パリ13区』とはまたトーンが違う、沈んだ色調のモノクロ画面が憂鬱さに更なる追い打ちをかける。その最大の要因は度々挿入される子供たちへのインタビューシーンで、そこでの子供たちの立派な発言の数々は、その素晴らしい感性や洞察力以上にこの世界がクソであることの証左にしかなっていないように思えた。本来であれば幼い子供たちにそこまで背負わせる必要がないことの無慈悲さ。責任を感じるどころか、大人たちはそれに無意識で感心してしまっていることの醜悪さ……。このような残酷と相まって、ホアキンとウディ・ノーマンが各地を転々とするさまは、自分にとってはコーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』と同じようにしか見えなかった
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