繰り返される都会のショットや希望的な言葉たちは主人公達の存在を逆説的にあぶりだし、笑えるぐらいどうしようもなくそれでいて身に覚えがありすぎる不器用なコミュニケーションの数々を高純度で見せつけてくれる。
とりわけあの年頃の少年特有の可愛さ余って面倒くささ５０倍な感じは塾講師経験者的にはかなりリアル。あのうまく通じたようで実はそうではなかった空回り感は非常にわかる。モノクロの映像も現実から抜け出した温かみに満ち溢れていて正直見ごたえはなかなかあった。
しかしそれ以外の要素(メールの字幕やら余計な展開)が正直足り過ぎていて中々没入しにくかったのも事実。あの情報量はウェス・アンダーソンぐらいの腕がないと処理は難しかろうに。不器用が器用を装っているようなみっともなさはあんまり見れたものではない。
