よしまる

カモン カモンのよしまるのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
4.2
 2022年公開の映画で劇場配信含めて鑑賞済は31本。んが。半分ほどしかレビューできてない💦

 2023年はまずこれを消化していこうと思うのだけれど、昨年はなぜかモノクロ作品で気になる物がチラホラ。
 本作は4つの都市を巡る擬似親子の物語。画面の色を平坦化することにより世界観の統一を意識したそうで、どの作品もそれぞれモノクロで撮る意図が明確であったことが面白いし、どれもが高品質だった。
 そしてもちろん、ホアキンすげえ!

 実際、ロードムービー的ではあるけれど行く先々の景色を楽しむような映画ではない。良い意味で場面が凸凹しないのだ。
 だから、おじさんと甥っ子という微妙な距離感の2人にのみフォーカスし、互いの心と心の葛藤を存分に楽しむことができる。
 いがみあい、許しあい、主張はしつつもお互いを尊重し合う2人の行く末をただいつまでも見守っていたくなる。

 フックとなるのは、デトロイト、ロサンゼルス、ニューヨーク、ニューオーリンズというその4つの都市でジャーナリスト役のホアキンが試みるインタビュー。
 映画は極めてミニマルな視点で作られていながら、こうした歴史や環境の異なる地区で子どもたちが世界を憂い、未来に目を輝かせて語るシーンがインサートされていくのだけれど、これがドキュメンタリーとしての側面を合わせ持ち、この擬似親子がいま置かれている環境を見事に浮き彫りにしていく。

 子供を使ったお涙頂戴映画などでは決してない。むしろ子供ゆえの邪気のない狡猾さもしっかり描き、子供と大人を対等な「人」として捉えたうえで、未来に希望を抱かせる、そんな素敵しかない映画だった。