Okamichan

カモン カモンのOkamichanのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
4.5
ニューヨークを拠点に活動するラジオジャーナリストのジョニー(ホアキン・フェニックス)は、LAに住む妹ヴィヴ(ギャビー・ホフマン)から、ちょっと風変わりな息子のジェシー(ウディ・ノーマン)を数日間預かって欲しいと頼まれる。ほとんど初対面の伯父ジョニーと甥っ子ジェシー。ふたりはぶつかり合い、打ち解けながらLAからニューヨーク、ニューオリンズへとインタビュー取材の“デコボコ”旅をする。



白黒の世界に鮮やかに映るジョニー(伯父)とジェシー(甥)の関係性が優しく、未来はなんだか大丈夫かも知れないと思える素晴らしい作品だった。

甥の世話を引き受けたものの、彼の困った言動に振り回され時に苛立ち、自己嫌悪するジョニー。分かる、分かるよ。あーーー!っと投げ出したくなるけど、ふと「小さな存在、呼吸しているだけでえらい」と大尊敬したりする。生きるクープグラッセ。大人は時に子供、子供は時に大人。

ジョニーを演じるホアキン・フェニックス、ジェシーを演じるウッディ・ノーマンの自然体を超越した演技も見もの。所々に挿入される子供たちのリアルなインタビューも深く考えさせられるものがある。

また、引用されているクレア・A・二ヴォラの「星の子供」も大変興味深い。タイトルである「C'MON C'MON(Come on,come on)」を劇中では「先へ」と表現されているが、私はもっと感覚的な捉え方をした。字幕、苦労したのではないかと思う。監督であるマイク・ミルズ自身も「直感的なもの」で、簡単に説明できないと答えている。

何はともあれマイク・ミルズに脱帽。
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