kumi

ミッドナイトスワンのkumiのレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
4.0

周囲から薦められるも、
いわゆるアイドルの人がでているものは
ちょっとなーと敬遠していたものの、
再上映したので鑑賞すると偏見まみれで
すまんかったと平謝りするレベルだった。

幼少時から自身の性の不一致に気付き
悩み、日陰と言われる新宿二丁目で
夜の仕事をして性転換の資金を貯める日々。

あるとき広島に住む親戚の中学生の女の子を
預かることになったのだが、そこで女性への
身体になるまでの身体的苦労や女性になり
母にまでなれると自己犠牲をしてまで
人を慈しみ愛することを覚えた
トランスジェンダーの凪沙の姿は穏やかで優しく
時に激しく鑑賞側の気持ちを揺さぶった。

この作品の登場人物はそれぞれ自身の性に
翻弄され満たされず、女性であるがゆえに
若き母となった苦悩、その母から日々
「おまえのせいで働いているのに」とネグレクトされ、
生まれ持った性に馴染めず女性としていきたい
トランスジェンダー、バレエしか才能がないと言われ
犬ばかり可愛がる両親に失望している少女、など
数え上げたらきりがないほどだ。

自分に向き合うより他者を抑圧し
思い通りにするほうがずっと簡単にお金を稼げるし
生きていくのもイージーかもしれない。

だけれど最後に心から望むものはなにか。

ゲイの友人たちと度々二丁目に遊びに
行っていたが、ホルモン注射の辛さや
おかしな性癖を持つヘルスがあるのも
今迄知らなかった。


劇場はほぼ満員で誰一人
照明がつくまで立ち上がらなかった。
こんな作品『新聞記者』以来だった。
kumi

kumi