観る者の想像や感情の入り込む隙間としての余白がある映画が好きです。余白があるからこそ鑑賞後の余韻が生まれると思います。何でもかんでも説明して押しつけてくる映画はわかりやすく楽しめるけど、見終わった後すぐに忘却が始まります。たとえば記憶を失った男を描くなら「ボーン○○シリーズ」より「過去のない男」の方に惹かれてしまいます。
この映画も素敵な余白がたくさんありました。
バレエの先生の一言で、草薙君はいちかちゃんへの母性本能スイッチが起動しました。まさに「しんごママ」ならぬ「つよしママ」の誕生です。でも、そこからが本当の二人の物語の始まりでした。
つよしママがいちかの耳元でささやく「よしよし」という言葉こそが、子供のすべてを受け入れ、存在そのものを愛する親の心情なのでしょう。
