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ミッドナイトスワンのriverのレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
3.1
描きたいものはわかるし悪気なくそれを具現化したのだろうけど。本当の当事者の人からするとどうなのかな?という作品。

草彅剛が体を張って演じる姿は素晴らしいけど、凪沙はそもそもトランスジェンダーなのか、ゲイなのか判断に迷うし、一果と出会って急に母性に目覚めてしまうのも理解しづらい。母になれば本物の女になれると思ってあの行動に出ているのか、本当に庇護者として一果という“娘”を守ろうとしているのか、見ていてどうにも納得がいかない。

一果を演じる服部樹咲は、バレエシーンを含めて存在感が圧倒的。彼女がピアノのテーマ曲に乗って踊る場面はずっと見ていたいほど。セリフを喋る演技は不安定なところもあるけど、今作品の中では彼女の存在が魅力の一助なのは間違いないだろう。

性的マイノリティ、被虐待児、お金はあるけど子どもに愛情をかけない親、未成年を被写体にする怪しい撮影会等々、いろんなものをてんこ盛りに盛り込んだものの、それらが全て表層を撫でるだけの、都合よく使われる設定になってしまっていて残念。

一果とりんの微妙な関係だけで一本作品が撮れそうなのに、あんな結末にしてしまうなんて。
登場人物への愛情がないというか、演じてる人たちには罪はないだけにもったいないなーという感じ。
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