百合ちゃん

ミッドナイトスワンの百合ちゃんのレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
4.8
退勤後に映画館へ。何から話したらいいのかわからないくらい、とても良い映画だった。すごく苦しくてすごく汚くてすごく綺麗で。心鷲掴みにされて夢中になっていたら暗転して、エンドロールが流れ出して。ぶわって涙が噴き出して止まらなかった。映画館の力ってすごい。上映している限り、この映画はできればNetflixとかじゃなくて、ぜひ映画館で観てほしいです。小さなスクリーンなら、できれば前から3列目とかで。時折挟まれる東京の景色がぶわあって溢れてきて、初夏の夕方の気持ちいい風みたいに、狭いシーンが多いから開放感なのかな、とにかくぶわあってなるんよ(語彙力)自由で孤独な大都市、東京ってとんでもないところだなとも思う。

いちか役の子、服部樹咲ちゃん。すんごい子いるんだな(絶句)いわゆる天才役というか、歌声とか踊りとか人とは違う「設定」って映画とかドラマとかでたくさんあると思うしいろいろみたけど、この子はその中でも1番惹き込まれるというか、とにかくもっと踊りを観ていたかった。まだまだ終わってほしくなかった。序盤の無表情とか態度とかも、すごくよかった。バレエのことは恥ずかしいくらいほんとうに何にも知らないけど。

音楽がよかった。帰りにエンドレスで聴いてたくらい。あのピアノなしのこの映画は考えられないもん。また再生したらこの映画のことぜんぶ蘇ってきて感傷的になってしまうからあかん。といいつつまたポチッとしてしまう。

草薙......途中で男のなぎさになるところでも、いつもテレビで見てる草薙じゃなくて、ちゃんとなぎさだとしか思えなかった。なぎさの仕草がまだ脳裏に焼き付いていて、なぎさに会いたくなる。

私はたまたま女に生まれてきて、好きなひとと暮らして好きな仕事して、子どもがすきで、いつか好きなひととの子どものお母さんになれたらいいなって思っていて、きっと身体が男性でも、きっと同じひとのことを好きになっていて、きっとこの仕事をしたいと思っていて、きっと子どもがすきで、いつか好きなひととの子どものお母さんになれたらって思ってるんだと思う。でも。もしこの身体に男性器がついていたら、あの人に振り向いてもらえないし、会社に就職できてもずっと自分を否定されている気になっているのかもしれないし、誰かのお母さんになれないのかもしれない。なにをどうしたらいいんだろう。わからないってことがわかった。いまは、それでいいんだと思う。

こんなに乱文書き連ねたのにまだ足りないもん。リンのこととか、先生の愛情とか、あの台詞とかあのシーンとか、若さについてとか育てることとか。まだまだいっぱい、いっぱいあるすぎる!とてもいい経験でした。とにかくすごく綺麗だった!