このレビューはネタバレを含みます
誰かになりたくても体が邪魔をする人の気持ち、きっとストレートの人には分からないはず。
それなのに、どうしてかこの作品を見たあと、涙を流してしまっていた。
そもそも分かるはずがないから共感をしようとすることも失礼だなと思っていた私であったが、これに関しては、LGBTQとは関係なしに、主人公の気持ちが凄く理解出来てしまい、作品を見ながら「次はこうしてしまいそうだ」という予感が全て的中してしまい、気づけば自分と重ねてしまっていた。
演技力や脚本の起承転結に関してはそれほど引き込む力があったキャストだったと思った。
「母性」それは身体的なものなのか。生物学上、子を産むことができる女性のみが持てるものなのか。また、女性になれば、母親になれるのか。
おそらくこの映画を見た人なら、NOと言えるものでは無いかと考える。
では主人公が男だからこれは未成年者とゲイによるラブストーリーなのか、といわれれば、それを否定したのが、劇中で「勇気がいる」と言われていた性転換のシーン。
「なんで私だけ」「なんで私じゃダメなの」
そう言った主人公が、ついに自分が母親になってもいいんだと思えたのは、実母を超える愛を娘に持てた自信からだったはず。
それを狂った愛と言うか、真実の愛と言うかは人によって変わってしまう。そう思わせたのは最後のシーンである。
いい作品ほど終わったあとにアウトプットしたくなってしまう為、スッキリしなかったはずなのに、どこかでこれをいい作品と呼びたくなる。とてもいい作品でした。