最高の映画。でも悲しすぎて二度は観られない。
最初にこの映画を知ったのは劇場ではなく、日本アカデミー賞授賞式のオンエアだった。
ノミネート作品の紹介とともにちょこっと流れるトレーラー。あれだ。
正直そのとき草彅剛の女装を垣間見た瞬間、
いやいやいやいやこれは無理あるでしょ!破壊力すごすぎて内容入ってこないわ!
くらいの感覚だった。
なのでストリーミングが始まってから、「怖いもの見たさ」で再生してみたところがある。
不思議なもので、物語が進むに連れて、草彅剛扮する凪沙が女にしか見えなくなってくる。それも聖母のような尊い女性に。
我が子のためなら例え火の中水の中、と昔は言われていたが、それを文字通り体現している凪沙が本当に美しい。そしてこの上なく不憫だ。
ラストはあそこまで悲愴的にしなくてもよかったのではないかなぁと思う。
実際性別適合手術は命がけだが、後遺症であそこまでの状態になるのはいささか現実離れしている。
凪沙の絶望は察するに余りあるが、それでもこの展開には違和感を感じる。
凪沙には希望を失わなず、母親として幸せになってほしかった。