Serena

ミッドナイトスワンのSerenaのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

びっくりした、こんなにいい映画だと思わなかった。
ここ数年で一番泣いた。
人に気軽に勧められるようなポップな映画じゃないけどすごくいい映画だから、
せめて自分か感じたものは全て書き起こしておかなくちゃと思った。

前半の一果が腕を噛むのを必死に凪沙が止めるシーンで早くも泣きそうになってしまった。
”人にしてあげることは、自分がしてほしいこと”っていうのをすごく体現していた気がする。
一果が自傷することを止めたのは、凪沙自身が生きていることを誰かに許されたかったからなのかなと思う。

二人の距離がだんだん近づいていって、一緒にバレエの練習をするシーンがすごく良かった。
最後に一果がコンクールで踊りながら二人のシーンがフラッシュバックするのがたまらない。
一果がバレエ人生を諦めずに、生きることができたのは、間違いなく凪沙のおかげなんだと痛感する。
子供の可能性のために、献身的になる凪沙はどうしようもないほどに母親なのに。母親なのになぁ。

オーディション会場でりんの幻を見て呟いた”お母さん”は、凪沙に向けられたもののはずなのに、残酷だ。

広島に一果を引き取りに来たシーンもしんどかった。
家族から化け物扱いされるって、どんなに辛いことなのか全然想像がつかない。
でも、自分が自分であることを許されたいと思っているはずの凪沙が、人からは認めてもらえないのは苦しい。
病気じゃないから治らないの、の一言だけで、凪沙の家族に対する理解の諦め、そんなことを言わせてしまう家族に対する苛立ちなど自分の感情がぐっちゃぐちゃになってしまった。
家族にどういう反応をされるのかわかっていても、一果を引き取るために実家に帰ってきたことが、凪沙の一果への愛情が、深く、強いものであるんだと強く印象に残った。

孤独を癒せるのは人でしかなくて、人と人とが交わることでしか生まれないものがあると月並みなことしか言えないけど感じるいい作品だった。
誰もが不幸じゃない人生を歩めるといいなと思う。
とにかく感情ぐちゃぐちゃにして考えさせられる映画。
無知を知り考えることで理解をし、無理やり前進させるしかない映画。
最高。

感想書きながらもティッシュ何枚もびしゃびしゃにした。
もっと私に文章力があればなぁ、こんなにいい映画なのに月並みなことしか言えなくてもどかしくなる。感情を文字が超えることはないんだろうなと感じて悲しくなるなどした!
Serena

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