Avayette25

ミッドナイトスワンのAvayette25のネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

中学生の一果。
母早織の育児放棄により
東京の叔父健二の元へ。

普通の叔父と思っていた健二が
女装していて困惑する一果。
凪沙として生きていた。

生育環境や困惑反発から
凪沙の言う事を聞きたがらないが、
やらないと出て行かせると
取り敢えず頼まれた掃除はする一果。
反抗したいが
子供の力で出来る事は限られており
守られたり、利用する必要はある葛藤。

少し凪沙の家で見様見真似で
やってみたりした程度だが、
社会への反発心対抗心から
バレエ経験あると強がり?
もしくは知性の未成熟さから
認識の違い。妙にリアル。

他の生徒など
周囲の反応もリアル。
異分子に怪訝な様子。

バレエ教室に体験に行った後
一果は綺麗に整理掃除していた。
生きる意味や希望を感じたからか。
どんな環境でも
光を見い出せば生活に
以前より前向きになれる。

非社交的な一果に
積極的にアプローチしてくれる
正反対のような属種のりん。

りんは交流バイトで稼ぐ。
個撮はダメ。
一線を越えたり
セクハラがある様子。
りんは実家が太く
お小遣いには困っていない筈が
何故稼いでいるのかは不明。

先生に気に入られる一果に
短絡的に嫉妬するりん。
個撮を勧める。
→一果が揉め事を起こし
警察が駆け付ける。
りんは素直に誠意を込めてごめんねと謝る。
強い悪意があった訳では無く、
それこそ精神の未熟さから
少し仕返しをしたいと思った程度だろう。
根は優しい様子。

一果の事を
見返りの金銭目的で
邪魔としか思っていなかった凪沙。
そこまで親身にならないでいい筈が、
もっと自分のこと大切にしないと
と一果に伝える。

バレエ用に使える
髪飾りをあげる凪沙。

りん▶︎一果
話すようになったね。
明るくなった。
可愛くなった。
バレエが上手になった。
一果にキスをするりん。

街を歩いていて、
キャッチにお兄さんと言われる凪沙の姿。
まだまだ世間の認識は薄く
単に女装しているだけとも
取られるのだろう。

怪我が悪化していたりん。
この子からバレエを取ったら
何も残らないと言うりんの母。
りんは微動だにしない。
心が死んでいるような表情。

面接にて
LGBTについて
共感を示したり勉強をする等では無い
という配慮の水準の違い。
中年以降ではまた
本質的な認識が薄い様子。

凪沙ふと実花先生に
お母さんと言われる。
とても嬉しそう。
一果を見守る母の目。

いただきますも
素直に言えるようになった一果。
凪沙は誠実に
自分と向き合ってくれる
という事を認識していったり、
バレエ教室やりんという
心の拠り所から
安寧な状態になったのだろう。
環境が人の生活や人生への
従事の姿勢心持ちを変える。

公園のおじさんに
バレエを褒められる一果。
朝になれば白鳥に戻ってしまう
(普通の人間で無くなってしまう)
なんとも悲しいと。

cf
チャイコフスキー【白鳥の湖】
で描かれるオデット姫は
魔法で白鳥の姿になってしまったが
夜にだけ人の姿に戻ることができる。
明けるとまた
白鳥の姿に変わってしまう。
(真実の愛がなければ、
人の姿に戻ることはできない。)

タイトルにもなっている重要な部分だが、
凪沙にとって
夜とは自分の事を理解してくれる
東京の隅の裏社会の事であり、
夜以外とは偏見に塗れた
馬鹿にされたり非難される
それ以外の普通の社会の事
と捉えられる。
そこでは普通の一人間として
扱われなくなる(=白鳥になる)という事。
ミッドナイトスワン
=(深)夜の白鳥
そういった人として扱われない
白鳥が夜でも白鳥の姿のまま
誰か(凪沙にとっての一果)に
受け入れられるという事が
如何に彼女にとって嬉しい事か
生きる糧希望になっていたのか
という事を逆説的に表しているのかな
と感じました。
また一果自身も
ああいった生育環境で出会った
密かな楽しみとしてのバレエ
を通して生きる希望を見出し、
普通の一人間として生きて来られなかった
自分を受けて入れてくれる
凪沙という存在は大きく
そのおかげで白鳥のように
不器用ながら羽ばたけたと。

凪沙▶︎瑞貴
私ねあの子の可能性を潰したくない。

一果の為に
風俗で働こうとする凪沙。
どうしても間際で拒絶してしまう。
普通の一人間である自分達が
何故こんなにも普通に生きれず
苦しまないといけないのかと。

なんとか就職する事が出来た。
必要以上の軋轢を生まない為
健二という名前で。男として。

ニキビが徐々に治っていく一果。

女装をやめ
"普通の格好で"働くという凪沙に
反抗する一果。
思春期特有か。
いやそれ以上に
自分の本当の在り方を偽ってまで
一果の為に普通を装わないでほしい
という気持ちの表れだろう。

変わったと自身で言う
一果の母早織が
迎えに帰ってくる。

68番 桜田一果
白鳥の湖 第2章
オデットのヴァリエーション。

バレエの動きのまま
空に飛び立ってしまうりん。

りんの姿を会場の席に見る一果。
身体が止まってしまう。

りんは広島に戻る事に。
また悪化している一果のニキビ。

広島に迎えに来た凪沙。
一果から引き離される。

中学卒業後、
凪沙に会いに行く一果。

性転換手術後のケアを怠っていたとのこと。
出血により視力も殆ど失っている様子。

手術でお金を失い
一果という大事な存在も
失ったと失意の下、
その後立て直す気力も起きなくなり
緩やかな自殺に向かっていたのだろう。

一果は外国のバレエ学校へ行ける事に。
奨学金を取れて。

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<メモ>

〇三大バレエ
チャイコフスキーの音楽による。
《白鳥の湖》《眠れる森の美女》
《くるみ割り人形》

性転換手術アフターケアの怠りで
そこまでには通常ならない様子。
またタイの技術も高い。
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