雅久

ミッドナイトスワンの雅久のネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

単純に凪沙と一果の演技凄すぎる、草彅さんは髪型が変わっても凪沙だったし、服部さんも少ないセリフにも関わらず感情がめちゃくちゃ伝わってくるし、バレエ綺麗すぎる。

自分が相手の1番辛い時の支えになって、その後自分の元を離れ知らないところで自分を置いていくかのように幸せになっていく様を見るのって、なんだかもどかしい感情になるもんだと思うけど、凪沙は心の底から祝福していたのが美しい。支える側が得てして報われないのが悲しいけど。

2人の距離の縮まり方も好きだった、自分の近くの人が何かに本気であることを目の当たりにすると、応援せずにいられないよね。

この2人を取り巻く社会の環境は確かに悪くて、かといって自分がこの2人のそばにいたとしてどうすれば幸せになるのかも分からないのが辛い。でもそこからは逃げないことが大事だと思う、凪沙が一果に適切な距離を保とうとかは考えなかった結果破滅にも繋がったけど、その分2人の人生にも少しは光が差したと思うから。自分も少なくとも理解しようとすることぐらいは出来るのかも。理解しようとすることが理解だと思っているし、理解という行為には完了がないってことを忘れないようにしたい。

・凪沙が就職したことを一果に伝えるシーン
髪を切った凪沙を見て反抗的な態度を取る一果に対して、凪沙が最後まで優しく語りかけて抱きしめるところに、凪沙の一果に対する無償の愛を感じられて良かった。本当の自分を変えてまで誰かに尽くし、それを拒否され、その上で優しい。そこまで想える相手が凪沙にできたのが救いかもしれない。

・最後の砂浜での会話のシーン
一果が、凪沙のすこし支離滅裂とも取れる発言に病院を進めるにあたって、心配だけではなく怯えの様な感情も入っているのがとてもリアル。大切な人が、病で(そうじゃなくても)豹変している様を見るのってめちゃくちゃ怖い。その責任の一端が自分にもあると思うと余計に。
雅久

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