maso

ミッドナイトスワンのmasoのレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
4.5
終始、胸が締め付けられた。1秒足りとも目が離せなくて、してやられました。
草彅剛の演技に圧巻。女性にしか見えないし、表情のバリエーション。新人の子のイチカ役の子も魅力的で踊ってるシーンには釘付けでした。舞台は新宿というのもあり、人間臭さを感じつつそれぞれの暗い部分に触れながらもナギサはどこか口調も眼差しもアタタカイ。2人が一緒に過ごしていくうちに少しぎこちなさはあるんだけど本当の親子のように絆が深まっていっててナギサ自身もお母さんのような立場が嬉しかったんだと思う。とっても穏やかな時間が過ぎていた。

血のつながりの強さに対する切なさや儚さ。自分のために必死に生きていた人生がイチカが現れたことによって色づいたものになっていた気がした。誰かの為に生きるのも、自分の為の人生であるのかな。ずっと切なさと儚さと暗い部分とあたたかさが入り混じっていて、最終的にそこには美しさがあった。

自分が親を選んで生まれてきたんだよと教えられ育ってきたが、親というものは自分の意思で選択はできないもの。そう思うようになったのも、DVの親や、家庭が崩壊していたりと様々な家庭環境があるからだ。お金持ちの元に生まれようがそれが決して幸せとは限らない。自分の人生を切り拓いていくのは自分しかいなくて、支えるものは唯一やはり愛なんだなと思った。そんな愛を捧げてくれる人たちを改めて大切にしたいと思わされた。

ずっと涙と祈りが止まらなかった。
どうか。どうかって。
自分の為に生きるのは勿論だけど、誰かを想い、愛し続けながら強く生きていこう。

海のシーンの笑顔が忘れられない。
どんなだったのかな。翌日もこうして余韻が止まらず胸を締め付けられます。最後のピアノの曲もまた良かった。

拍手。
maso

maso