このレビューはネタバレを含みます
車を盗んだ親友を追跡する男の話。
タイトルからワイスピみたいな作品を予想していたのですが、実際はスラップスティック・ロードムービーみたいな作品で。
親友を追う主人公の珍道中を描いた、かなりコメディー要素の強い作品となっています。
父親の形見でもある、ボロボロの車に振り回される主人公も笑えましたし、主人公を追いかけるヤクザ達のおバカっぷりも面白かったですね。
個人的にはバック運転が連鎖していく件が、ドタバタな馬鹿馬鹿しさが詰まっていて好きでした。
そうしたコメディー要素に加え、主人公と父親の確執というシリアスな話も描かれていきます。
まるで車に父親の魂が宿ったかの様な終盤の展開は、ファンタジックな飛躍で良かったと思うし、車と主人公のいざこざも、父と息子の不器用なコミュニケーションのメタファーだったのかもしれません。
これはこれで泣ける話にはなっているのですが、映画全体のトンマナを考えると、ちょっと重た過ぎるかな…という気も。
基本的には緩いコメディーですし、そこにこんなシリアスなドラマをブチ込まれると胃もたれしちゃうんですよね。
あと、主人公役の俳優が高倉健似の二枚目で、ここは三枚目の俳優に演じて欲しかった気もします。
ユ・ヘジン辺りがやっていれば、主人公の情けなさがより伝わって、より笑い易い作品になった事でしょう。
そんなわけで惜しい部分もありますが、何も考えずに気楽に映画を見たい時には、丁度良い作品ではあるのかなと。
変に期待値を上げず、緩く見る分には、それなりに楽しい作品だと思いますよ。