『三色ごはん』でのソン・ホジュンはものすごくかわゆいのだが、いかにも退屈そうな民放ドラマにばかり出ているので、演技しているのを観たことがなかった。
本作ではドラマ『カジノ』でチェ・ミンシクの少年時代を演じたイ・ギュヒヨンと共演、敵方にはここ数年でブレイクしたホ・ソンテが登場と、フレッシュな顔ぶれ。
脚本は韓国歴代興収ベスト3に数えられる『エクストリーム・ジョブ』を手掛けた女流のペ・セヨン、本国ではそこそこの成績を弾き出した作品のようだ。
とは言え野心的な内容ではなく、コメディタッチのロードムービーにベタつく家族愛やノスタルジーを加えた、韓国王道のエンタメ。
良くも悪くも「ホジュナをスクリーンで観たい」と昂まる需要に、応えた作品となっている。
彼のバラエティ人気を知らない日本の韓国映画ファンの目には「誰よ、これ」と映り黙殺されそう…と、思わず気を揉んだりして。
タレントとしてはおっとりした佇まいが品の良さを感じさせるホジュンだが、本作では大先輩のユ・ヘジンが演じてもおかしくないほどの三枚目。
口汚い言葉で状況を罵り、権力にへつらうダメ男の姿を、ほぼ出ずっぱりで表情豊かに演じ、新境地を示している。
果たして今後も、彼の映画主演は続くのだろうか。
