けーすけ

サイレント・トーキョーのけーすけのレビュー・感想・評価

サイレント・トーキョー(2020年製作の映画)
3.1
2020/12/04(金) T・ジョイPRINCE 品川 シアター3 20:50回にて鑑賞。H-12。

クリスマス・イブの12月24日、東京・恵比寿での爆破予告がTV局に入った。「どうせイタズラだろ」と疑いながら現地に向かった局員の来栖公太(井之脇海)とその先輩ADだったが、実際に爆弾らしきものが設置してある事を知り、その後に最初の爆発が起きる。その場に居合わせた主婦の山口アイコ(石田ゆり子)は来栖とともに犯人の罠にはめられてしまい、実行犯の指示に従うようにさせられてしまった。犯人から出された次の標的は渋谷のハチ公前。要求は首相との生対談。
前代未聞の事件の中、刑事の世田志乃夫(西島秀俊)も捜査を始め、怪しい動きを取る男・須永基樹(中村倫也)に目を付けた。
騒ぎに乗じた野次馬が集まる渋谷スクランブル交差点、誰もが爆弾には半信半疑であったが・・・









以下、感想です。真犯人につながるような核心ネタバレはありませんが、今回はちょっとキツめのツッコミ感想なので未見の方はご注意ください。

また、本作は血や骨が見えるレベルでの怪我といった少々キツめな場面描写があったのと、そこそこに音がバカでかい「全然サイレントじゃねーぞ!」な映画でもありましたので苦手な方はそちらもご注意くださいませ。(いきなりの爆音でチビりそうだった)







以前、映画館で予告編を見た時に「佐藤浩市に石田ゆり子、西島秀俊、中村倫也、広瀬アリスが出るだと?これは観なきゃ!」と思った作品。と、同時に「予告なのにストーリーが全然見えてこない、、、」と微かな不安を覚えた事も記憶にあったのですが、それは的中。


観終わって出てきたのは「雑ぅ!!」の一言。
本作のメインストーリーのタイムラインはイブのお昼から夜まで。

恵比寿で爆発騒ぎがあった正午。その後、現場検証をしている現場すぐ隣のカフェがすぐに営業してるって…。普通は建物一帯を封鎖して調べるのでは。


渋谷の爆破事件では犯人に仕立て上げられてしまった人物が警察に捕まるのですが、直接関係なかったからといって1-2時間くらいで解放。さすがに早すぎじゃないかね…。


犯行に関わったとも思われる人物の部屋に行った広瀬アリス。事件の核心に迫る証拠を手に入れるのですが、そんな簡単に部屋を漁らせるなんて…。


犯人を追う西島秀俊。令状もなく犯人と思しき人物の部屋へ入れたのは、同行した者が血縁者だったから?それでも部屋の鍵はどうしたんだろう。


怪しげな男演じる中村倫也や佐藤浩市。クライムサスペンスでもありつつ、群像劇っぽい進め方なのですが、どの人物も描写が浅くて入り込めなくて残念。
過去の出来事の回想シーンとかで若かりし頃の登場人物が出てくるのですが、似てないので「えっと、この人誰だっけ?」と混乱も。

そしてやってる事のデカさの割りに、犯人の動機はちょっと弱かったような。



とまあ、中盤から細かい部分があれこれ気になって仕方なかったです。コンパクトにまとめるため、かなり尺を短くした印象でした。




それでも、栃木のオープンセットを使った渋谷のスクランブル交差点でのシーン。ここはめちゃめちゃに素晴らしかった。見どころはここ!それに尽きます。

W杯やハロウィンの時を思い返すと「爆破予告だってー!(キャッキャッ)」って見に行くバカが実際にいるんだろうなと空恐ろしくなりましたよ。
そして丁寧にスローで映し出される“その瞬間”。最初の犠牲者の描写に不謹慎ながら笑ってしまいましたが、生々しく描かれる阿鼻叫喚が重くなりすぎないような絶妙なシーンだったと思います。

遠景なんかはグリーンバックなんかを使ったCGなのでしょうが、全然気にならないレベル。日本は公道を使った撮影の規制が厳しいので、海外のようにこういったオープンセットが色々できてほしいなーと思いました。


ストーリーとしては個人的に刺さりませんでしたが、ギリギリのバランスで、役者の力量によって最後まで突っ走った感のある映画でした。


[2020-177]
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