あき

サイレント・トーキョーのあきのレビュー・感想・評価

サイレント・トーキョー(2020年製作の映画)
2.0
長さ的にもコンパクトだし展開も早いから飽きずにサクッと観れるけど。けど。
”けど”がつきまとう映画だった。
渋谷ハチ公前広場の爆破シーンは力の入った編集だけど”ソードフィッシュ”(2001,米)の爆破シーンと酷似してて、あーやっちゃったなって思っちゃうし、
脇に出てくる豪華キャストの無駄遣いも気になる。
それと共犯者が犯人と共謀する背景が描かれないからなぜそこまでするのか感情移入できない。
そしてなんといっても犯人の動機。
いわゆる”テロ”の根底にある民族的対立や宗教的対立が成立しにくい日本で日本人がテロを起こす無理矢理感が拭えず、今回のも動機が薄っぺらくて到底腑に落ちない。
それに”平和ボケ”を非難するくせに防衛的危機管理能力保持に憎悪を持って反対する矛盾。
結局製作側の、”テロを扱えば劇的な展開で面白いよね”というビジュアル的な短絡さしか感じなかったし、
そもそも”日本でテロがあったら”という、大の大人が壮大な”ごっこ”をやってるのを観させられてるようで、その幼稚さが鼻につく。
しかもポスターのキャッチフレーズ”聖夜に、絶望を。”自体が多感な思春期の誇張的なペシミズムそのもので、なんだか夜中に書いたラブレターを朝読んだ時のような、観てるこっちが恥ずかしくなる感覚。
気楽に観れるという意味では成功した映画だけど、久しぶりに色々腑に落ちないものを観た。
あき

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