Rocks／ロックスのmareのレビュー・感想・評価

学校では喧嘩もしたり友人とやんちゃしたり夢を語ったり、彼女の姿はとても活気があるものに見えるが、その内面は皆が当たり前に享受している幸福を誰よりも渇望していて羨んでいる。だからといってそんな深刻なことを言えるはずもなく、ましてや自分の持っている闇など幸せな彼女らには理解してもらえるわけがないと、時に突っぱねてしまう。自立を強制される現実と安易に頼ってはいられないプライドに日々心が消耗していく。親の無責任な行動ひとつで八方塞がりになってしまい、常に渦巻く不安を抱えながら弟とたった2人で乗り越えようと不器用ながらにもがく。こうあってはいけない社会の側面を炙り出し、過酷なストーリーではあるが、楽しくふざけた瞬間も彩られた絶妙なバランスでさまざまに感情を巡らせる青春映画の傑作だと思う。