けーはち

ネコナデのけーはちのレビュー・感想・評価

ネコナデ(2008年製作の映画)
3.5
冷血人事部長、愛猫家に──会社のため非情なリストラを強行し、新人には根性論でブラックな研修を押し付け、家では父親として厳しく「動物を飼うなど簡単ではない」と妻子を抑えこむ立場の大杉漣が、研修用に借りた部屋の一室に拾った猫を隠して飼う(不審な挙動のため盗撮疑惑で密告される)。猫チャンの可愛さ🐈😍だけでメシを食うタイプのファミリー向けドラマかと思いきや作劇の軸は「中年の危機」。会社でも家庭でも自分を抑圧、憎まれ役の頑固で冷厳なペルソナを被り、胃痛と生きづらさに苛まれていた主人公に自由な天使のような猫チャンとの蜜月🐈🥰が舞い込んで幸せ〜😇👼な自我の解放が訪れるんだけど、その解放には当然今まで積み上げてきたものを崩すコストを支払う必要があるよね、っていうビターな話。

家族や立場のあるおじさんが自由奔放な愛人に狂ったみたいな話を猫でやった感じかしらん。しかし猫なので絵面はファミリー向けである。

すっかり愛猫家になった後に、同時期に猫を拾った若者に再会したら、「捨てた」と言い放たれてブチキレて暴力沙汰になり、自らリストラされ猫を連れて家に帰ってくるラストシーンがいと物哀しい。みんなもっと自分らしく生きられる社会になると良いね……