荒野の狼

ネコナデの荒野の狼のレビュー・感想・評価

ネコナデ(2008年製作の映画)
2.0
2018年2月に逝去した大杉漣が主演した2008年の85分の映画。大杉は共演した子猫を撮影終了後、引き取って自宅で飼い生前最後のSNSのメッセージも愛猫のことであった。本作は大杉と猫の出会いをある意味ドキュメントしているという意味で、大杉ファン、猫好きにとっては見ておきたいもの。本作は配役という点では申し分なく、それぞれの俳優も好演している。
問題は脚本と演出で、二面性を持った大杉、かわいい子猫、美しいが一見冷たく見える青山倫子、直情型の新入社員で最初は大杉に反感を持つ黒川芽以、包容力のある原日出子(大杉の妻役)と最初の10分ほどでキャラクターが出揃えば、展開は想像がつき、物語もその通り進行して終了してしまう。猫好きにとって物足りないのは、猫のかわいらしさや本性がほとんど映像化されていないところ。
評価できるのは、獣医との面談シーンで猫の飼育上の注意が与えられるシーンと、登場時間は短いが雑種でほとんど動かない巨大な猫が(この猫の存在感は、見せ場がほとんどない「主役」の子猫より印象が残るほど)。監視ロボットで猫の遠隔飼育を試みや、猫の飼育ゲームなど、これまでにないストーリー展開に生かせそうなものはあったはずが、まったく生かされていないのは残念。よって本作は出演俳優のそれぞれのファンにはお勧めできるが、猫好きや一般視聴者には物足りない。
荒野の狼

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