旅するランナー

天才ヴァイオリニストと消えた旋律の旅するランナーのレビュー・感想・評価

4.0
【消えた感動】

邦題のミステリーっぽさに騙されてはいけません。
これは、ユダヤ人迫害としっかり向き合った作品なのです。
原題「The Song of Names」の意味が分かった時、隠された感動が沸き起こってきます。

さらに、ブルッフのヴァイオリン協奏曲はじめ、美しい曲を堪能でき、クラシックファンもご満悦です。
台湾出身のオーストラリア人レイ・チェンによる、素晴らしいヴァイオリン演奏が聴きどころです。

ただ、どうも、クライブ・オーウェンのひげ面が違和感たっぷりで、ストーリーや音楽に入り込めないんですよねぇ。
せっかくの感動が消された感じがします。
僕の感動をどうしてくれるんだよー。

さて、このレビューを書きながら、映画に出てきた、トレブリンカ強制収容所を調べてみました。
トレブリンカ絶滅収容所とも呼ばれる、ワルシャワから北東約90kmに存在した、ナチスドイツの強制収容所である。
ポーランドのユダヤ人絶滅を目的としたラインハルト作戦に則って作られた三大絶滅収容所の一つである(他にベウジェツ強制収容所、ソビボル強制収容所)。
1942年7月23日の開所から1943年10月19日に放棄されるまでの約14か月の間に、ここで殺害されたユダヤ人の数は73万人以上にのぼる。

いや~、恐ろしい。
オーウェンのひげが、おーてへんとか言ってる場合じゃありません。
この事実を知ってから、この映画を観ると、受ける衝撃への深みが増しますね、絶対。
その意味では、これは素晴らしいレビューだ。
って、呆れたエゴイストだ、お前は...
自画自賛してんじゃねーよ。