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天才ヴァイオリニストと消えた旋律のHKのレビュー・感想・評価

3.7
主演はティム・ロスとクライブ・オーウェン。
主人公の成長に合わせ子役から3人の俳優が演じ分けていますが、序盤に登場する青年がティム・ロスと感じがよく似ており、案の定しばらくすると一気に35年の時が流れ現在のティム・ロスに。
その奥さん役のキャサリン・マコーミックの方も序盤に出て来た若い女優と似た顔立ち。

私はこういうこだわり(似た顔立ちのキャスティング)は地味ながら大事な事だと思っていて、小さなことにも手を抜かないという監督の姿勢に好感が持てます。
観ているこちらとしても脳内補正の手間が省け、物語に自然と集中できますから。
少年時代の子役はあまり似てませんが、まあそこまで言うと欲張りですかね。

舞台は第二次大戦直前のロンドンに始まり、その後一気に35年後に。
本作は音楽要素はもちろんありますが、実はホロコーストの爪痕が絡む作品です。
この邦題は本作がミステリー主体の作品だというミスリードを招いてしまい、本来この映画が伝えたいことが届きにくくなっている気がします。

オーウェンは物語の後半になって登場。
この人、私が観てきた映画に偏りがあるのかもしれませんが、アクション系の人だという印象があったので、今回のヴァイオリン奏者の役どころはかなり意外でした。
しかもユダヤ人で髭ボーボー。
もちろんヴァイオリンは弾きますが、派手なアクションなど一切ナシ。

監督はフランソワ・ジラールというカナダの人。
この監督、フィルモグラフィーを見ると音楽に縁のある作品ばかり撮ってるようです。

ユダヤ教のラビが“ラパポート”と繰り返し歌う旋律が鑑賞後も耳に残ります。
原題は"The Song of Names"。
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