Sachiko

ファーストラヴのSachikoのネタバレレビュー・内容・結末

ファーストラヴ(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

期待どおり良い映画だった。
映画館で観るに値する映画だった。

ただ、タイトルの「ファーストラヴ」で
恋愛映画だと思われ
観るのを止める人が出たら
それはもったいない。
何か他に適切なタイトルは
なかったのだろうか。

まあ、ファーストラヴが
ストーリーに大きくカランではくるのだが
それは、一般的な甘い過去ではなく
ソノアと 延々と引きずってしまう過去になる。

恋愛とはいえない経験。


私が 一番 印象に残ったのは「眼」

色んな人の眼がクローズアップされる。

「目は口ほどに物を言う」と言うが
「眼」「視線」だけで
ここまで人を苦しめてしまう。

「視姦」(自動変換で出なかった)
は、
ある一定の特定の人だけではなく
日常でも身近にある。

無意識に視姦してしまっている場合もあるだろう。

そして、その視線は
それが両親でも、親切な人でも、面接官でも
苦しめてしまうこともある。
貶めることもある。

それは、経験者しかわからない恐怖。

実際 義父からの性的虐待は
なかったのが まだ救い?

いや、実際にはあったのかもしれない。

自分の父親の視線から
異常さを感じてしまった娘は
もう元には戻れないだろう。

最後 自分の本当の気持ちを言ってもいいと思えたことは
本当に救いである。


役者は、みんな凄い。

最初、窪塚と中村倫也の役は
逆の方がよいのではと思った。

でも、最後までみて
やはりそのままの方が
意外性があって良いのだと思った。

北川景子の演技は
前から賛否両論あるが
私は好きだし
この映画でも、鬼気迫るシーンは圧巻だった。

うたた寝して悪夢をみて起きた時の
あの眼、眼球は凄まじい。

芳根京子も好きだけど
この映画は代表作と言っても
良いのではと思うくらい
凄かった。

凄い女優になったね。
感激しました。

木村佳乃は、リスカの跡と
根性焼きの跡もあったから
虐待されてたのは間違いない。

娘が、自分と同じことをしてるのをみて
「気持ち悪い」という母親。

父親の少女回春の話しを
さらっと娘に話す母親。

これは、父親との関係だけでなく
母親の関係性の話しでもある。

いわゆる毒親。

高岡早紀のあの視線。
まさにはまり役だ。

ほんの一瞬だけの出演だったけど
強烈な印象を残したのは流石。

あと、コンビニの店員だった
ゆうじくん。

裁判所で証言した時の表情
素晴らしかった。

そして、今 病気療養中の
清原くんもちょい役ででてて
懐かしかった。

早く回復してまた色んな作品に
出演して欲しい。

北川景子が 旦那さんの窪塚に
告白して泣くシーンも
良かったなぁ。

全部 わかってて、でも本人が言うタイミングを
ずっと待っててくれるなんて
本当に素敵な旦那さん。

途中 中村倫也と 2人で旅行っぽくなった時
誤解されて離婚とかになったりしたら
がっかりだったけど…

ようやく泣けてわかってもらえて
本当に救われた。

子供は、大人が思ってる以上に
色んなことを感じてて
でも、それがどういうことなのかはわからず
自分が悪いのだと思い込む。

周りの大人にも癒されない過去があり
自分の子供を追い詰めてしまう。

負のループが繰り返されないことを
願うばかりである。


あと、何度かでてきた会話。

本当は嫌なのに笑ってる。

笑ってるから大丈夫と思う。

笑っていません。
笑うわけないじゃないですか。

これって、本当のこと。

本人は笑ってる意識ありません。
無意識に笑ってしまってる。

嬉しいとか可笑しいの
笑顔ではありません。

本心を隠すための笑顔です。
本心は隠さねばならないから
笑顔になってしまうのです。

隠さなければいけない本心。
本心を隠さなければどうなるか。

学習させられてしまっている。

悲しいですね。
だから、悲しい笑顔です。

泣き笑いのような。

それに微塵も気がつかず
笑ってたからいいと思った?

笑ってたから同意してた?

ふざけんのもいい加減にしろ、ですね。

本心を言っても安全安心。

笑いたくない時には
笑わなくて良い世界。

そんな世界になるといいです。
Sachiko

Sachiko