るるびっち

ファーストラヴのるるびっちのレビュー・感想・評価

ファーストラヴ(2021年製作の映画)
3.0
父親も兄も近所の優しいお兄ちゃんも、幼なじみも初恋相手も勿論恋人も、男という生き物は皆チンチンで行動している。
頭の中がチンチンに支配されている、どうしようもない生き物。
チンチン頭は、正にエイリアンのデザイン。
つまり女性にとって、男は皆エイリアンという話。
ミステリーとしては特にトリックはなし。
男はチンチンで行動している。という事実が女性観客にとっては、一番のミステリーかも知れない。

そんなチンチン野郎の視線に晒され、心を病んだ女性の犯行。
小学生の男の子は呑気に子供でいられるが、女の子は小学生の頃から近所の変態おじさんの視線に晒され、稀に触られたり変なものかけられたり大変だ。
変態おじさんなら通報すれば良いが、父親や善良な優しいお兄ちゃんも気持ち悪いことするから逃げ場がない。
そして味方のハズの母親が、父親の味方をするから孤立する。
呑気に育つ男子に比べて、女子は早くから大人にならざる負えない。

コンビニにエロ本が平然と置かれていたり、海外に比べ日本はその手のことに意識が低い。
海外で幼女買春を普通の父親がしていたエピソードが出るが、幼女ではないが、バブルの頃は東南アジアでの買春ツアーとか普通にありましたからね。
昭和のお父さんがこの映画を観たら、それ悪いことなの?と首を捻るでしょう。それくらいモラルは低かった。
昭和のオッサン達は悪意なく子供の前で『11PM』を 見たり、電車の中でエロ新聞読んだり週刊誌の袋とじ開けたりしていた。
奥さん達もそれに対して、むしろ共犯的な関係なのだ。
昭和の映画では、社長くらいの立場になると妾を持ち、2号さんと番号で呼ばれていた。妾くらい持つのが男の甲斐性だった。
最近は規制されてきたが、未だに無自覚なオジサンは一定数居る。
セクハラ発言の森会長に、女性アスリートのメダルを噛む市長。
男性のメダルなら噛まないでしょう。
彼らはこの映画でなら、裁かれるか殺されるかする人たちだ。
女性にトラウマを植え付ける行為に、無自覚なオジサン。

しかし、解りやすいバカオヤジだけではない。
子供漫画を描き続けた藤子・F・不二雄ですら『エスパー魔美』で、父親のヌードモデルを魔美にさせている。
本作では、ヌード男性の横に幼女を置いたことさえ女の子のトラウマになると断罪しているのに、本人にヌードさせたら大問題だろう。
子供のために漫画を描いていた人でさえ、そこは鈍感なのだ。
おおらかとも言えるが、その"おおらか"の言葉の陰で苦しんでいる少女たちが居るなら、放置できない。
その内『ドラえもん』もコンプライアンスで、しずかちゃんの入浴シーンは削除されるだろう。
ジャイアンの暴力やスネ夫のハラスメントも規制されるに違いない。
すると、のび太はそれらへの対抗で便利道具を使う動機が無くなる。
そうなると、怠けるためだけに使うことになる。
のび太への同情は減るだろう。のび太の印象は今より悪くなるだろう。

「今の君はピカピカに光って〜♪」
このCMで出てきた宮崎美子。熊本大学の女子大生で、木陰で脱衣してビキニ姿になる瞬間を映したCMだ。
ちょっと太めで、モデル体型ではない普通の女子大生の自然な可愛らしさが印象的だった。でも人目を避けて慌てて脱いだのに、カメラに撮られていたという内容だった。明らかに盗撮なのだ。
これがカメラのCMなのだから、盗撮を推奨しているようなものだ。
企業ぐるみで犯罪推奨しているが、当時は人気のCMだった。
昭和のおおらかさが懐かしい。
だんだん世の中、ギスギスしてくるな。
でも、それは男性側にとって都合の良いおおらかさで、修正されていくのは仕方がないことだろう。
こうした男性中心の無自覚さの被害者が居るなら、正されるべきなのである。
この映画において、被害女性の凶器の矛先は父親ではなく、男性諸氏の無自覚さへの一撃なのである。
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