正しさとは何か?をひたすら問うてくる息の詰まる152分です。
ドキュメンタリーの映像監督である由宇子がある事件を追いかけていて、その撮影が佳境に入った段階で、学習塾を経営する父がとんでもない問題を起こたことが発覚し、由宇子の正義が天秤のように揺れ動く様を描いています。
音楽もなく、淡々とセリフだけで見せているのが息苦しさを助長させていて、その点ではアカデミー外国語映画賞を獲った「別離」に少し似たタイプの映画とも言えるでしょう。
「別離」とテーマは違うが、見ていてずっと辛いのに全く目が離せないというのも類似点です。
最後の最後までしんどい上に、最終的には観客に委ねるというのはズルいかなと思わなくもないけれど、人の本性というか自分の本質に気づきを与えるという意味では極上のラストでありました。
個人的には正しさを基準に白黒はっきりしてしまうと生きづらいし、グレーも大事にしたいなぁなんて思ったり思わなかったり…。
作品内では人命が関わっているので、軽口を叩けないのは重々承知していますが、正しさだけに囚われていると加害者も被害者も沼にハマってしまうし、許すこと、すなわち余白を持って生きる以外に救いはないとも感じました。
勝手なもんで当事者になったらそんなことは言えないし、言わないとも思うけれども…。
ま、つらつらと感想を述べてきましたが、最終的に何を言いたいのかというと、かなりの良作なので、めちゃくちゃオススメです!