藻類デスモデスムス属

由宇子の天秤の藻類デスモデスムス属のレビュー・感想・評価

由宇子の天秤(2020年製作の映画)
4.0
日暮れを迎える河川敷、遊び飽かない子供のこえ。稲穂のような光に包まれ、人物の輪郭が溶けだしていく。帰ろうよ。あの子にいう。眩しさを剥いていく。硬いものに手がぶつかった。あの子って、どの子。ふっと体が一瞬遅れ、それから強打した。向かいから急に降りたのだ。ずりおちるようにシーソーを離れ、地面に横たわる。辺りは急に暗くなっていた。目を凝らしても姿はみえない。そして、彼方に呼ばれていないと気づき、慄然とする。越えられなかった線が、山の方へと離れていくのを目が追った。いなかったことにしようとする夕闇の中、よろよろと立ち上がり、飛石をわたる。