みかんぼうや

由宇子の天秤のみかんぼうやのレビュー・感想・評価

由宇子の天秤(2020年製作の映画)
4.4
劇場で観たいと思っていた作品だが結局観られず配信でようやく視聴。期待通りの重さたっぷり骨太社会派邦画。

とある学校のいじめ問題を追いかけるドキュメンタリーディレクター由宇子が自らの正義を信じ、マスコミによる切り抜き・偏重報道の闇に抗うストレートな展開の作品だと思っていたが、そうは問屋が卸さない。由宇子の周りで起こるある事件をきっかけに、話は一気に複雑な方向に進んでいく。

自分たちの立場を守るために都合のいい情報を発信するのはマスコミだけじゃない。一個人もまた、自らを、家族を、そして周りの人間たちを守るために時に真実を歪め都合のいい情報発信を行う。

自分や大切な人たちの今を守るために、真実をコントロールし続けることへの葛藤。いじめ、偏重報道、貧困、性被害・・・次から次へ折り重なる社会の闇。

強烈な重さの中で、「自分が同じ立場にいたらどう判断しどう行動するのか?」、「これまでの自分は自分たちを守るために真実を歪めてこなかったのか?」を問われ続けた150分間。
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