木元

由宇子の天秤の木元のレビュー・感想・評価

由宇子の天秤(2020年製作の映画)
4.0
面白かった。フリーの(おそらく)ドキュメンタリー作家である由宇子が、数年前に起きた女子高生と先生の自殺騒動について取材をし、番組を作ろうとする。一方、自身の父親が昔から経営する塾で、とある問題が発生して……? という内容。ことあるごとに対象へカメラを向ける主人公を、これまた150分近く、ずっと映し続けている。
この人はいい人なのか悪い人なのか? 起きた出来事は事実なのかそうじゃないのか? カメラを向けることで正義や真実を揺るがす展開で、重めなテーマにもかかわらずハラハラ楽しめた。
主人公の由宇子は、保守的なテレビ局や日和見主義の上司へと嚙みついてはいるものの、いざ自分が問題に直面したときには自分の信じたいことしか信じない。のべつ幕無しに言葉を並べ立てるものの、自己弁護のそれは醜悪であり、また見どころでもあるなあと思った。
真実はいつも一つではない。ことあるごとに変容するそれを鋭く撮った本作、長尺ですが見ごたえあって、おすすめです。
2023/84
木元

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