Violette

アメリカの息子のVioletteのレビュー・感想・評価

アメリカの息子(2019年製作の映画)
4.2
母親の態度を悪く思う人もいるだろうけど、白人国家の有色人種なら、最初から肌の色だけで偏見と悪意で対応される人生を歩んでいたら、こうなるのは当然。
ということがわからないのは、白人目線で見ている人でしょうね。

どんな金持ちやセレブだって肌の色で白人がまったく感じずに生きている不安や心配を子どもに対しても抱いている。白人にはわからないことがある。いくら反差別と言ってる人でも、それを生きることが絶対にないから。

少しでもこうした作品を見て多少でも知っていくしかない。
黒人もこの世界でうまく白人を適当に甘やかしていくのが利口に見えるかもしれないけれど、心の中は常に屈辱を抱える。

すごく厳しくてつらい現実。

日本人でも白人社会と繋がりがあれば、有色人種である自分の被差別性もわかるし、黒人とは歴史は違っても白人じゃないことで受ける理不尽に少しでも共感できると思う。

有色人種の夫や妻や恋人や友だちがいて差別する人なんて大勢いるから、そんなことは差別しない人の証明にはならないよ。
経験を持って断言できる。

舞台の映画化だからセリフのたたみかけがあって、演出も舞台風。
もう少し映画風にしてもよかったと思う。
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