なかなかお目にかかれないブラジル映画。
勝手に大味の映画を想像してしまったけど、とっても繊細でじわじわくる映画でした。
主人公はおじいさん。そこに現れる若い女性。ユニセックスな感じのサバサバした娘だ。
高齢で視力の衰えたエルネストに、旧友から手紙が届くものの、読むことが出来ない。おまけにエルネストの出身地のウルグアイから来た手紙だからスペイン語のため、読める人も少ない。
そこでたまたま、近所で犬の散歩のアルバイトでしていた、ビアという23才の女性に頼むことに。
ちょっぴり頑固で捻くれ者のエルネストと、愛情を受けずに育ったビアとの、友情や信頼関係が築かれていくさまを、静かに丁寧に描いている。
エルネストの衰えた視力の中で見る世界。視力は衰えても、いや衰えたからこその洞察力が冴える。
エルネストの隣人、ハビエルとの友情も素敵だ。
登場人物は少ないけど、ハウスキーパーの女性や、エルネストの息子もみんないい人たちだ。
そして高齢になっても、死ぬのを待つように生きるのではなく、人生をいつまも諦めない。
希望が持てるラストだった。