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アントマン&ワスプ:クアントマニアのSQURのレビュー・感想・評価

4.0
ようやくエンドゲーム以後に相応しい大きな"戦い"の話が動き始めたな!といった感じで、1本の映画ではなくMCUという唯一無二のストーリーテリングのメディアとして見たとき、かなり期待の高まる1本だった。

量子の世界や時間の外といった概念を筆頭にハードなSF小説的ハッタリと、今までのアントマン的というか大長編ドラえもんのようなコミカルな適当さが共存していて、非常に奇妙、という意味で独自性の高さを感じた。
この、真面目さと不真面目さが共存するのは、アントマン限った話でもおそらくなく、複数のリアリティラインに立つ物語をごちゃ混ぜにするMCUという試み全体に通じる話でもあると思う。
例えば、時間を超越した存在であるはずのカーンにも同じように時間が流れているように見える不思議さや、彼が人間と同じような見た目をしていることはかなり気になる部分だ。それを今後SF的に説明するのか、それとも漫画的なお決まりだと流すのかーーどちらの方が作品として素晴らしくなるのか予想もつかないけれどーー今後のMCUの展開の仕方はかなり気になる。

一方で、1本の映画として見たとき、スクリーン映えのする画の欠如は気になる。MCUという大きな物語を語るためのステップのようになってしまっている感は否めない。
MCUというメディアがもはや既存の映画という概念に収まらないことは同意するが、スクリーンで観る以上映画館で観て良かったと思えるような「画の強さ」は欲しいところだ。
また、アントマンというヒーローの性質(伸び縮みできる)がお話のスケールに見合っていない残念さも感じる。その奇妙な同居のギャップを魅力と言うことも出来るかもしれないが、アントマンでなければもっと面白くなったような気もしなくはない。特に戦闘シーンには、過去作以上のアイデアはない。映画内でも自己言及的に指摘されてはいるが、どうしても地味だ。
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