悪魔の毒々クチビル

アントマン&ワスプ:クアントマニアの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

3.5
「君にはいくつ穴があるんだい?」

量子世界の更に奥にある別ユニバースに引き込まれたアントマン達のお話。


MCU、フェーズ5へ。
アントマンって1作目がフェーズ2のラストだったりと、地味に作品の立ち位置が転換期を示していますね。
最近はドラマにも力を入れ出して、周りでも付いて行けていない人が多い印象ですし俺もその一人ではありますが、アントマンってキャラ自体は好きなのでこれも観に行っちゃうよね、そりゃ。


うん。はいはい。
まず作風で言うとアントマンシリーズの中では一番壮大です。って言った割には個人的にシリーズで一番地味にも感じました。
そもそも過去2作、特に1はコメディ要素を基調とした内容でスコットだけでなく彼を取り巻く仲間達も良い味を出していて、緩いヒーロー映画としてとても面白かったんです。
が、今回は設定上マイケル・ペーニャやジュディ・グリアらお馴染みのキャストは出番が無くなり、良くも悪くも真っ当にマーベル映画しています。
それでもある程度コミカルな部分は残っていますが、分量的には昨今のアメコミ映画と同じくらいなので逆に個性が消えて平凡になってしまっていました。

そもそも今作自体、今後の「アベンジャーズ」シリーズにおける新ヴィランであるカーンの紹介にも焦点を置いている訳で、今の既存のMCUヒーローでその世界観に物理的に辿り着けるのがアントマンとかアメリカ・チャベスとか非常に限られていたので取り敢えずアントマン行っとくか、みたいなノリだった…って事は無いでしょうけど何か中身が薄いというか。
カーンはドラマも追っている人にとっては初見ではないでしょうけど、今作のカーンとは大分違う印象だったかな。まぁここら辺は一応触れないでおくか。
ただ今回のカーンは自分を追放した相手に復讐する為に色々準備していたみたいだけど、最後まで観て思ったのがアレじゃ無理なんじゃね?
サノスの軍勢と違ってブラックオーダーみたいに戦闘面でも有能な部下が複数いる訳でもなく、モードック以外ほぼ全員モブ兵だったし。

あ、そうだ、俺最初の予告編しか観ていなかったから知らなかったんだけど、今作にはマーベルヴィランの中では結構有名なモードックが出てきます。
俺も一応知っているキャラだったのでこれはちょっと驚きました。中身があの人なのもこれまたびっくりでしたが、あんな使い捨てキャラで良かったんだろうか。
あとビル・マーレイの出演も知らなかったのでこれまた嬉しいサプライズでしたが、只のゲスト出演くらいの出番でした。今後の作品でも出番があるかと聞かれれば微妙。

殆どの舞台が量子世界の別ユニバースなので、CGまみれですが今回は特に気になる所は無かったかな。ずっと観続けて麻痺してきたのかも知れないけど。
この世界ならではの変な見た目の住人も、GotGシリーズとかで慣れていたのでそんなに目を引くキャラは居なかったです。

終盤は「エンドゲーム」的な規模のバトルに発展するも、画がイマイチ映えず。
アントマン&ワスプ&キャシーvsカーンは割と良かったです。
結局カーン自身の強さは今作ではよく分からないというか、確かに強いんだけどこれまで多くの平行世界をアベンジャーズごと滅ぼして来た経歴に見合う脅威かというと微妙な所。
最終的にはシンプルな脳筋キャラになってアントマンと殴り合いしていました。
あとコスプレ忙しそうだな~、とあそこを観ていて思いました。

アントマン側のドラマ要素も大して刺さるものでもなく、今後カギとなる新たな世界観にもあまり惹かれず内容のスケールに反して中身は至って平凡な作品でした。
これだったらコメディが得意なペイトン・リードを続投させるんじゃなくて、別の監督にしても良かったと思います。
カーンって結局はドラマの方でも暗躍していくし多分「シークレット・インベイジョン」とかも映画と繋がりそうだからそっちも気にしないと行けないんだけど、個人的にMCUのドラマってイマイチなのが多かったから正直面倒くさい。
まぁ「ロキ」のシーズン2は唯一楽しみなんだけど、今後も個々の作品の出来がこの程度だと新「アベンジャーズ」二部作の前に完全に見限りそうではあります。
でも「GotG3」はガッツリ期待しているんだけどね。