じゅ

アントマン&ワスプ:クアントマニアのじゅのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

初アントマン。これが何作目かも知らないけど、楽しかったな。

てか「QUANTUMANIA」の文字列の中のちょうどいい位置に「ANT MAN」が入ってるのすごくない?エンディングムービーでおおーってなった。


空間も時間も包含する量子世界ってのがあって、アントマンことスコット・ラングの娘のキャシーちゃんが量子世界と通信する装置を発明しちゃったら、娘父母祖父祖母みんなで量子世界に引き摺り込まれてしまいましたと。
量子世界は征服者ことカーンが帝国を築いて支配してて、故郷を追われた住民が反乱軍を結成していた。カーンはマルチバースを渡り歩いて数多の時間軸を破壊してきたからなんやら上位の存在に量子世界に追放されて、脱出手段のエンジンを取り戻そうとキャシーを人質に取ってスコットを利用して、エンジンが使える状態になってもキャシーを返さない&そもそもカーンを量子世界から脱出させたらえらいことになるってことでみんなで立ち向かうぞうおーってなりましたと。


すごかったわ。さすがの映像技術。ちゃんと金出してますか。
こういう世界観を描ける人たちの頭の中をスクリーンで観れるのって嬉しい。まあ結局メインキャラはヒト型だなっていう、人間が考えているが故の想像の制約みたいなのはさすがに感じるけど、無生物の描写はなんかもうびびる。


「俺たちの戦いじゃない」「でも起こってる」だってさ。まじで刺さるテーマ持ってくるじゃん。前に『戦場記者』を観たからかな。
さすがこのヒーロー一家はどんどん身を捧げるな。量子世界での解放軍と征服者カーンとの戦争然り、カーンが量子世界から解放された場合のマルチバースのいろんな宇宙とカーンとの戦争然り。特に後者なんて、ジャネットが量子世界から出るチャンスを捨てる見返りが自分とは全然関係ないとこの宇宙が救われるってことだもんな。俺だったらたぶん普通にカーンに送ってってもらう。まあまたカーンをこの世界に放り込んだすげえ奴がもっかいやってくれるだろって都合良く思って。

「小さき者を見捨てるな」ってのはさすがヒーロー。でっかい人間が持つべき意気込みとしては正しすぎるほど正しい気がする。お節介はヒーローの本質って『僕のヒーローアカデミア』で緑谷出久くんも言ってましたよ。


「小さき者を見捨てるな」とはいえ、自伝に記したスコット自身が初めできてなかった。まあでも娘がいればそれもそうか。自分は当然1人しかいないんだから、誰にとってのヒーローであるか選ばねばならん。困難に陥っているたくさんの見知らぬ誰かのために戦うヒーローを単に"ヒーロー"と呼ぶのであれば、スコットが自伝で今はヒーローより父親をやりたいみたいなことを述べてたし、であれば困難に陥っている反乱軍の皆さんのために立ち向かうより娘の手を引いて逃げ惑うべきだったと理解できる。そもそも、スコットにとってキャシーだって見捨てないべき小さき者だ。
なんかMODOKも初登場したあのくだりって、15年前の俺だったらサノスの軍勢ともやり合ったあのアントマンなんだから戦えよって思ってたかもしれないけど、今になるとキャシーパパ娘を守ってくれっていう気持ちが強くなるな。俺父親じゃないけど。

キャシーのためになるとバチボコに怒りを剥き出しにしてでかくなって正面から突撃してくのがかっけえんだよな。何もかも薙ぎ倒して行きやがる。熱かった。


熱かったといえば地味に好きなのが、ジャネットがピム粒子(?)で巨大化させて使えなくしたエンジンのエネルギー源を元に戻しに行ったところのくだりの最後。可能性としてのスコットがボコボコ大量に湧いてきて、可能性としてのホープさんもボコボコ大量に湧いてきて、2人で手を取り合った瞬間に可能性が1つに収束したところ。2人なら成功する以外の可能性がないって、なんかかっこよかった。
あとヘンリーが引き連れてきた蟻の軍勢。かっけえわあ。

一方で世間の熱量についていけなかったのがMODOKだな。ネットでMarvelの公式がMODOK出ますって内容の記事を出しててみんな盛り上がってそうな雰囲気だったけど、なんせ俺はまだマーベルコミックに触ったことすらないんだよな。(ビル・マーレイ出るって話にはへーってなってた。)
前作をまだ1コも観てないからダレンって人も今のところ知らん。『アイアンマン』シリーズの1作目でアイアンマンとプロトタイプ強化版みたいなアイアンマンがぶつかり合ったみたいに、『アントマン』シリーズでもアントマンと同じく虫モチーフのアーマーの奴が戦って、それがスコットの知人のダレンだったんだなってことはなんとなくわかった。あと、どうやらなかなか剽軽だったっぽいこと。てか、その時キャシーは6歳だったんだ。スコットってアントマン歴長いんだな。小さくなるのとか元に戻るのとかめちゃめちゃタイミング上手いわけだ。
MODOKのキャラ造形は思い切ってるなって思ったwあんなほとんど顔だけ魔人は『SIREN2』の堕彗児(おとしご)以来初めて見たぞ。


あとは、いくつかのどうでもいいけど気になるポイントがある。

カーンは捕虜のスコットとキャシーを浮かせて締め上げてダレンを弾き飛ばしたあの激つよサイコキネシスをなんで戦闘で使わなかったんだろ。まあ手もつけられんほど強くしすぎた敵あるあるなのかな。あるいは牢の中に変な重力場だか電磁場だか何かを発生させる装置を付けたり、ダレンがもしも反乱した時のために安全装置を付けてたりとか。
反乱軍を消滅させてたビームをスコットがくらっても吹っ飛ぶだけだったのはアントマンの装甲がめっちゃ強いからってことにしておこう。
てかカーンさん、あの戦いぶりだとどうもマルチバースで何人ものアベンジャーズを殺してきたように思えないんだよな。なんか、例えば10のマルチバースで何人かのアベンジャーズを殺す間に他の90のマルチバースのアベンジャーズにボコられたりしてない?スコットにエンジンのエネルギー源に叩きつけられて吸い込まれた結末はたぶんどこか別の場所に転送されたんだろうけど、そんなかんじでその90のマルチバースで命拾いしてきたりしてない?まあ気のせいか。

量子世界ってのは、......何だったっけ。
振り返ってみて「空間も時間も包含する」って自分で書いといて何書いてるか意味わかんないな。べつにあっちの場所とこっちの場所が1箇所に存在してるみたいなわけでもなかったし、誰があれをしている時刻とこれをしている時刻が同時に存在しているわけでもなかったし。
例えば量子じゃない世界との相対的な話で、例として時間という観点を切り取るならば、全マルチバース間で共有される唯一の時間の基点があって同じペースで時間が刻まれてるけど量子世界はその時間の基点とかペースから独立してるとかあるんだろうか。つまり、例えばマルチバース1から2に仮に移動する場合は必ず同じ時刻の宇宙を行き来することになるけど、マルチバースと量子世界の移動は互いに違う時刻を行き来できるみたいな。ここでマルチバースって言葉を使うのが適当なのかよくわかってないけど。
まあ、その辺はMarvelの賢い人が必要に応じて外部の人とも組んでしっかり考えてるんだろうな。


てか、人間が人間を超える能力を持って戦うのをやってて、神が参戦してきて、創造主が介入してきて、並行世界も巻き込むようになって、そしたら今度はエンドゲームと違う形で時間も超えてみることにしてみたか。
なんかもう、森羅万象とか概念の祖みたいなのを出されても驚かないな。
じゅ

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