よしまる

アントマン&ワスプ:クアントマニアのよしまるのレビュー・感想・評価

3.3
5年前の2作目の時はまだあまりフィルマにレビューを書いてなかったんだなぁ。

て事で一応3部作の完結編となるアントマンシリーズ最新作。1.2作目が4.0以上をマークしていたのに、ガクンと低評価。興行的にもマーベルスタジオ作品の中ではウルトロンとワカンダフォーエバー以来、3度目の「続編のほうが興行収入が下がる」という憂き目にあう。

コミックやアニメーションに親しんだ方なら、アントマンと言えばピム博士。真面目な科学者が苦悩するイメージがあるのだけれど、初の映画化となったMCUのシリーズではその継承者で泥棒が主人公笑
ポール・ラッドによる軽快なノリはデップーほど悪ノリでもなく、スパイディほど軽口でもない、大人なシニカルさを持っていて味わい深い。このコミカルなヒーローと、ちっさくなったりおっきくなったりする騒動がアントマンの魅力の根っこだった。

のに!

量子世界を行き来できるという設定が、当時のアベンジャーズにちょうどハマってしまったがばっかりに世界を救うヒント、あるいは格好のマルチバースネタに利用されてしまい、思ってもいない複雑な役割を担わされる。さらにはあろうことかフェーズ5の幕開けとしてサノスの次のラスボス、カーンとの対峙も余儀なくされ、これはもう悲劇以外のなんでもない。

そんな本作だから、エバンジェリン・リリーが黒髪を切って原作のワスプに寄せてみたり、みんな大好きモードックが意外な形で登場したりと見どころもあるにはあるが、MCU初参戦となるビル・マーレイがまるで無駄遣いだし、ちっちゃなスコットが溢れ出す演出は面白い半面、ポストクレジットのカーンのシーンは食傷になるし、まあ何よりずっと暗い画面で広がりのない世界で、アントマンならではのコミカルな動きが無さすぎた。

シリアスとエンタメのバランスが究極な形で幸福な完結を迎えたエンドゲームの後、やはりリセットして楽しく元気なMCUが観たいのに、どれもこれも何か重いものを背負わされてるような気がしてしまう。

数々の重荷のせいでがんじがらめになっていくところは、何となくジャスティスリーグ時代の堕ちていくDCを彷彿とさせる。スコットの存在はそんなMCUに無くてはならない清涼剤であり、良心だったんけどなぁ。