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エルヴィスのericaのレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
4.6
"彼は愛に殺された。"

大好きなバズ・ラーマン監督の最新作、しかもエルヴィス・プレスリーの伝記映画なんて最高じゃないか…!ということで個人的に超楽しみにしていました。試写会当たって感激です。
Filmarks様ありがとう!

当たり前なんだけど、最初から最後までバズ・ラーマンだった。つまり最高。
冒頭のWBの煌びやかなロゴで既にテンション爆上がり🤩💖バズワールド突入。
目まぐるしい場面展開、スピード感、ド派手演出、これこれ!
"キング・オブ・ロックンロール"ことエルヴィス・プレスリーの波瀾万丈な人生を、まるでジェットコースターに乗って体験しているかのようでした。

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余談だけど、私のエルヴィスとの出会いはスティッチでした。
映画『リロ&スティッチ』が大好きでもう何回も観てるんだけど、リロがキング推しで劇中沢山の楽曲が流れる。
特に"Hound Dog"と"Suspicious Mind"が好きで、これをきっかけに色々動画とか漁って聴いていました。

あと曲以外で知っていたのは、彼の死因がドーナツの食べ過ぎであるという説。(私は母から聞いた笑)
そんな訳ないだろうと思いつつ、ちょっと意識しながら鑑賞しました。

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⚠️以下、ネタバレ含みます。









いやー良かった。特にライブシーンの熱量が凄い!!
エルヴィスのスター性と圧巻のパフォーマンスにファンと一緒に酔いしれる極上の映像体験。

とにかく素晴らしかったのが、オースティン・バトラーの表現力。
特に晩年のエルヴィスの演技は凄かったな。。
もはや憑依していたと思う。
ラストで本人映像に切り替わるんだけど全く違和感なかった。というかオースティンだと思ってたら本人だった、みたいな。笑
これってすごいことだと思う
話し方や表情の演技もさることながら、個人的には歌唱シーンで度肝抜かれました。。
オースティンの歌う"Trouble"は、音楽配信サービスでもう解禁されているので、ぜひ本人バージョンと聴き比べてみて欲しい。
オースティン、エルヴィスに似せるためにどれだけ研究と練習を重ねたのだろう。
おそらく彼のキャリアで最重要作品になることは間違いないと思うし、オスカーも有力なのでは?と思うぐらい本当に素晴らしかった…👏

そしてトム・ハンクス演じるパーカー大佐。
大佐のことは全く知らなかったけど、『ボヘミアン・ラプソディ』然り『ロケットマン』然り、スターの側には必ずと言っていいほど邪悪な人間がいるものですね。。
商魂たくましい大佐の目に、青年エルヴィスは光る原石に見えたのかな。
まだまだ迷えるエルヴィスを、サーカスの鏡張りの部屋で追い詰めるシークエンスは、バズ・ラーマン節が炸裂していてお気に入り。🎪
("I Hate Elvis"のグッズの件からも分かるように)利益を生み出すことに取り憑かれてはいたものの、その手腕は確かだったと思うし、ジャンル不定だったエルヴィスの将来性を見抜いたのは先見の明があったからだと認めざるを得ない。
人間性は最悪だけどね!
そんな大佐役を演じたトム・ハンクスの嫌らしい演技も最高だったな〜

カントリー、ゴスペル、R&B、、、
アメリカ南部で育ったエルヴィスは様々なジャンル、とりわけブラックカルチャーに影響を受け、自分の表現したい音楽というのを明確に持っていた。
しかしそれは(熱狂的なファンがいる一方で)当時のアメリカ社会では受け入れられず、自分のスタイルを貫くならば逮捕あるいは兵役だと脅される。
彼の反骨精神はカッコよく見えたけど、表現規制が厳しかった時代においてエルヴィスはどれだけ苦労し遠回りしたのだろう
もし今の時代だったら……というタラレバをどうしても考えてしまう。


"足がない鳥は飛び続けなくてはならない
疲れたら風に身を任せて空を漂う
もし着地したら、それは死だ"

一語一句覚えてないけど晩年のエルヴィスが語る上記の台詞には胸が締め付けられた。。


2時間半越えというそこそこ長尺作品であるにもかかわらず、それを感じさせないスピーディーな展開とゴージャスな演出に終始目が釘付けでとても面白かった。

公開されたら音響が良い映画館でもう一度観たいな。
バズ・ラーマン監督は割とクセ強めだから賛否両論あると思うけど、個人的には大好きな監督×大好きなジャンルで最高な映画体験でした🌟
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