Yellowman

エルヴィスのYellowmanのレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
4.5
“ロックンロール”

私は、常日頃からロックンロールが好きだ。それは、音楽のジャンルなどではなく、物事への考え方、姿勢などが含まれる。それは、ロックンロールというカルチャーを通して、教わった価値観や、人生の岐路に立った時、かつてのロックンロールの先人達は、こんな時どうやって切り抜けて来ただろう?とか、それは、ここで書くとなると、レビューどころではなくなるので、割愛させて頂くが、もっと広い定義の意味だ、音楽に置いても、ロックンロールと云うとステレオタイプに捉えられがちだが、あの山下達郎が自分が毎回作って、演奏しているのはロックンロールと語っていたり、カニエ・ウエストがラップは、今のロックンロールだと語ったりと、もはや、スピリットとして象徴されていると言ってもいい。ここで、重要なのは、”ロック”ではなく、”ロックンロール”であると云うこと。ここが大事。ライブ会場でサンボマスターは”ロックンロール”と絶叫するが、佐野元春は「ゴギゲンなロックンロールナンバーを演奏するよ」言ってしなやかに演奏するのも、同義だと思う。

前置きが長くなってしまったが、そんなロックンロールのキング、エルヴィス・プレスリーの生涯を追った今作。今までもエルヴィスを題材にした映画は作られてきたが、これは、1番分かりやすくて、若い世代、往年の世代にも、納得の内容なのではと思ってしまう。オースティン・バトラーによる、絶妙なパフォーマンス。バズ・ラーマン監督による攻めた構図、ライティングなどにより、”キング”を具現化するには、申し分ない。ストーリーも当時のR&Bに影響を受けたエピソードや、ロックンロールと呼称されるようになってからの、リトル・リチャードを登場させる辺りが実にいいなぁと思って観た。トム・パーカー大佐の狂言回しは、必要不可欠だったろうなと思う。本当にベガスでばかりしか、ライブを演らない理由が分かったりと。
後半は、グッと込み上げるものがあるが
クレジットロールのエミネム&シーロー・グリーンの「The king and I」と監督のクレジットロールの演出も冴え渡り、早く家に帰って本物のキングを聴かなきゃ、観なきゃと思った次第。ロックンロール伝記映画の傑作。
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