リプリー

エルヴィスのリプリーのレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
4.2
エルヴィス・プレスリーに関しての知識といえば、海外ドラマ「フルハウス」でジェシーおいたん(おじさん)がファンだったことでその名前を知った程度。あと、「死霊館 エンフィールド事件」で、ウォーレンが歌っていたことで「これがプレスリーの曲か」と結びついたくらいなので、ほとんど彼に関する知識は皆無と言っていい(もちろん、監獄ロックなんて有名どころは知っているが)。
しかし、バズ・ラーマン監督は10代前半のときに「ロミオ&ジュリエット」と「ムーランルージュ」を見て、完全に食らってしまった人間である。

まず、キラキラとしたワーナー・ブラザースのロゴから時系列が凄まじい編集テンポで入れ替わる序盤にグッと掴まれた。
マネージャーとの間で何かあったらしい…ということが冒頭でわかるので、プレスリーのことを知らない人でも、飲み込める親切設計になっている。
さらに時系列が進むたびに、アメリカの歴史を描いているのもいいところ。
確かに少し長くは感じたが、文字通りエンターテイナーとしてステージに立ち続け、何とか自分らしさを表現しようとしたプレスリーの姿には心打たれてしまったし、もしあんなマネージャーと出会わなければ、のびのびと彼が思うようなキャリアを描けていれば…と考えずにはいられない。
もちろん、誰もが知る名曲の数々がいいことは言わずもがな。
「ボヘミアン・ラプソディ」のようなわかりやすさはないが、バズ・ラーマンにしか撮れない伝記映画に仕上がっていると思う。