エルヴィスの伝記映画
トム・パーカー目線で語られており, 彼の評伝という側面もあるので, エルヴィスと彼が出会う以前などは手短に省略される。
また、ミュージカル的で、曲が中心になっているのである程度エルヴィスの事を分かっていないと, 話を理解しにくいかもしれない。
エルヴィス伝記映画では『ザ シンガー』というテレビムービーがあり(ジョン・カーペンター監督, カート・ラッセルがエルヴィスを演じた)、こちらはエルヴィスが昔を回想する構成になっているのでパーカーに出会う前が細部まで描かれるなど、『エルヴィス』とエピソードの被りも少ないので併せて観るとより良いと思う。寧ろエルヴィスを全然知らないという人はドラマパートがメインである『ザ シンガー』を観てから歌パートメインの『エルヴィス』を観るという順番が良いと思う。
本作で特に良かったのは, (抑えめではあったが)豪華絢爛で目が回りそうなバズ・ラーマンルックと, オースティン・バトラーのモノマネじゃなく本物らしさを一瞬でも感じられる演技, エルヴィスと他アーティストの歌をテレコで入れて〈有り得たかもしれないコラボ〉を実現した所など。
また, カーニバルシーンでの, 如何わしくも魅力ある雰囲気(そこにいるパーカー含め)は先日公開(といっても半年前?)『ナイトメア・アリー』と符号するなぁと。あちらで多少物足りなかった部分を埋めてくれた気がして個人的に好き。
